18話!
その瞬間、賢者は両手で口を押さえる。しまったという表情をしている。
「僕って話したっけ? ポロッと言ってたり」
僕はクレブリアに視線を送りながらそう聞いた。
「いえ、言ってないわね」
視線を賢者に戻した僕は聞いた。
「どうして……知ってるの?」
僕は警戒心をあらわにする。もしかして監視されていたかな。でも誰かいたらクレブリアが気づくはずだったらどうやって。
「ちっ違いましゅっ、たまたま言ってみたら当たってただけですよ!」
「怪しいわね、賢者っぽくないし、あいつの差し金かしら」
「ちっ違います、マントの男とは私むきゃんけいです!」
そう言い終えた後、賢者はさらに驚いた表情をして自分の口を両手で抑えた。
「ちちち違うんです! 私怪しい者じゃありません! 味方です!」
「じゃあ説明してくれるかしら?」
クレブリアの声が低く響く。賢者は「ひっ」と息を吸う。
「私は……占いがっ……でででできるのです」
「占い? 占いでなんでそんなに詳細にわかるの?」
占いはそんなにはっきり物事がわかる物ではなかったはずだ。なんとなく物事の方向性がわかるだけだった。
「私にはわかりゅんです、信じてください、誓って私はマントの男とは無関係です!」
賢者の声が響いた。僕はクレブリアに近づいて言って小声で聞いた。
「本当かな? 占いって」
「わからないわ」
「でも嘘ついてる感じじゃないぞ」
ヴェールが小声でそう言う。確かにそうだと思う。嘘な感じがしない。だまそうとしてるとかそんな嫌な雰囲気がまるで感じない。
「ちょ、ちょっといいですか?」
賢者は最初いた机の所から移動してこちらに近づいてきた。僕は警戒を一応強める。
「ふぁっ、大丈夫です!」
そろりそろりと賢者が近づいてきてから言った。
「皆さんしか知らないひみゃ……秘密を占って言えば……信じてもらえいますか?」
「秘密って、そんなのばれたら嫌な事の可能性の方が高いし、それを言われるってすごく嫌な事じゃん」
「大丈夫でしゅ……です……というかエルさんあなたの事です」
平然とまだ名乗っていない僕の名前を賢者が言った。もう驚かない。
「僕の事?」
「はい……今日の事をうりゃなって……占って不意に見てしまいました、すみません」
律儀に頭を下げ賢者が言った。
「以前の話です」
「ちょっ! やめてよ!」
「大丈夫、知ってる人にしかわかりません、日本? という言葉、あとガン? という言葉」
賢者の言葉は探り探りで初めて発する言葉の様にたどたどしかった。
2回目!