17話!
「すみませーん」
もう一度声をかけるといきなり人影が立ち上がった。
「どうしましたか?!」
立ち上がった人物がそう聞いてくる。
「店主さんはいますか?」
僕が代表して聞くと立ち上がった人物が答えた。
「わわわ私ですが」
この人が賢者らしい。髪がぼさぼさの女性だ。年齢がよくわからない。歳を取ってるようにも見えるし、少女にも見える。一応確認してみるか。
「賢者さん……ですか?」
「ふぁっ、ふぁい、いかにも賢者です」
かみかみでそう言うと賢者はへらぁと笑う。力が抜けてしまいそうな笑顔と返事だと思う。
「お客様はお客? 泥棒?」
賢者の聞き方に僕はつい吹き出してしまう。泥棒だと思ってるならお客様と呼ぶのは間抜けだと思う。お人好しか。クレブリアもクスクス笑っている。ヴェールとネピアだけいまいちわかってないようだ。
「客よ、泥棒じゃないわ」
「ヨルセダってわかる? ギルドのセレン支部長」
「ふぁっあっヨルセダしゃま……様、わかります」
「ヨルセダの紹介で来たんだ僕たち」
僕がそう言うと得心したように頷いてへらぁと笑った。
「ようこそ、よくおいでになりました」
賢者はそう言って深々と頭を下げる。
「あぁっ、ご丁寧にどうも」
頭を下げられるとなんだか申し訳なくてこっちも下げたくなる。するとそれを見た賢者がさらに深く頭を下げて言った。
「いやいや、こちらこそご丁寧にありがとうございます」
僕はそれを見てさらに「いやいやいや、こちらこそ」と言ってより深く頭を下げる。賢者はそれを見て慌てたように「いやいやいやいや」とさらに。
「これ、永遠に続くやつね」
その突っ込みを入れたクレブリアが我慢できなくなったように笑いだす。それにつられてみんなが笑い始めた。
「お、面白い方でしゅね……ですね」
ひとしきり笑った後、賢者がそう言う。僕も賢者に言われたくないと「そちらそこ」と張りあうように言った。
「いい人しゃう……そうで良かった……何かお話があるのでしゅか……ですか?」
「聞きたい事があって」
「では少々お待ちください……もう店を閉めちゃいますね」
「いいのかしら? 待つわよ……私たちが突然来たのだし、もしあれだったら開店状態で話をしてお客が来たら、そちらを優先する感じで」
クレブリアがそう言うと賢者がへらぁと笑って、顔を横に振る。
「いえ、もうお客しゃま……様はもう来ないです……それに片手間に不滅魔法兵について話すのは難しい」
「え?」
1回目!