14話!
そういえばクレブリアは知的好奇心が旺盛なんだった。賢者なんて大好物だろう。
「クレブリアって目指す所は賢者なの?」
「何よ、急に?」
「え……気になって」
「賢者……を目指してる訳じゃないわ、ただ新しい事を知るのが楽しいのよ」
きっと賢者になる人はこういう人なんだろうな。なろうと思って知的好奇心旺盛になれないし。
「クレ姉って何かなりたい物ってあるのか?」
ヴェールがそう聞くとクレブリアが驚いた表情をする。その後、考える素振りをして言った。
「わかんないわ……考えた事もなかった」
「そっかぁ」
少し残念そうにヴェールが言う。
「どうしてそんなこと聞いたの?」
「この前、ヨルセダに将来やりたい事はあるか聞かれて」
「それで私にそんな事」
「うん」
やりたい事を考えられるという事は余裕が出てきたと言う事だろう。二人とも、仲間になる前は大変な思いをしてたわけだし。僕は二人の心に余裕ができた事が嬉しくて顔がほころぶ。
「何よ、にやにやして」
「あぁ、いや、なんでも」
「ネピアは何かあるのか?」
「将来って、ネピアは使われるだけ」
「そういう事じゃないんだぞ」
ヴェールが悲しそうにネピアの顔を見る。
「自分自身のしたい事だぞ」
ネピアは不思議そうな表情で首を傾げる。
「まぁすぐに決めなきゃいけない訳じゃないから」
そう言って僕はヴェールの頭を撫でる。そんな簡単に決まったら苦労はしない。やりたい事なんてほとんどの人ができていないくらいなんだから。
「エルはどうなのよ?」
「え? 僕?」
「そう、前に騎士団がって話したけど、それから考えはどうなったのかしら?」
「あぁ、うん、セルカのためにってのがあるけど、自分も何か目標がほしいし、今のところ騎士団作りたい」
僕のその言葉にクレブリアが嬉しそうに笑う。
「じゃあ私もそれに乗っかるわ」
「え? 頼もしいけど」
「役職は参謀で」
「じゃあ……アタシも今のところは乗っかるぞ、役職は参謀補佐」
「……ありがとう」
「それで実現のためのプランは?」
クレブリアのその言葉に僕はギョッとする。プランと言われてもそんなものはありません。
「無いのね」
「無いです」
「やっぱり参謀が必要ね」
得意げにクレブリアが笑うと言葉を続ける。
「ただの自称で良いなら今すぐに騎士団と名乗ればいいわ」
それだと違う気がする。でも具体的に「こう」と言えないせいで僕は言葉に詰まる。
2回目!