10話!
「早速出発する?」
ギルドから出た所で僕は気持ちが抑えられず、クレブリアにそう聞いた。
「バカ! 寝なさい!」
「え? 大丈夫」
「大丈夫じゃないわ! すぐに出発できないのは自分のせいだと噛み締めながら眠りなさい」
少し怒っているようでクレブリアの声が低めに響く。僕は大人しく頷いた。
「私とヴェールで買い出し行ってくるわ、ネピアはそのバカを寝かしつけてバカやらないように見張ってくれるかしら」
「わかった」
なにげにバカバカと言われると刺さる。僕はしょげながら宿屋に向う。
「もうちょっと強めに止めればよかった、ごめん」
ネピアのその言葉に僕は顔を横に振る。
「それは違うよ……僕が勘違いしてた」
そんなにいきなり強くなれたら苦労はしない。コツコツやっていくしかない。ただ。
「諦めてもいない、何か強力な魔法を覚えようと思う」
「変わってない」
「違うよ、コツコツ努力する、でもそれと並行して強力な魔法も覚える……コツコツ努力しつつ、一つの強力な魔法を使いこなしたら最強じゃない?」
「うーん」
ネピアが微妙な返事をする。まぁいいさ。ゴーディルみたいに一つ強力な魔法でブーストしてコツコツ訓練した強さに上乗せすればすごくなる。僕はそう信じてる。
「とりあえず早く戻って休もう」
「うん」
僕の回復は早い。まだ朝の早い時間だから、昼までには元通りだ。宿まで素早く戻ると自分の部屋に入る。
「付き合わせてごめんね、ネピアも休んで」
「いや……疲れてない」
眠気がだんだん広がってきた僕はあくびをしつつ、ベッドに腰掛けながら聞く。
「そうなんだっけ……疲れないとか眠くないって限界はないの?」
「限界?」
「活動限界みたいな」
「魔力が無くなったら、動けない」
「逆に言えば魔力さえあれば身体的には消耗しないんだ……魔力は減るけど」
「そう」
ネピアは不滅魔法兵とは少し違う存在だけど、ほとんど同じだ。そう思うと不滅魔法兵ってすごいな。戦争で使われただけの事はある。自然のエネルギーを魔力に変える魔法石を使ってるから魔力切れもまずない。よく考えられてる。唯一の弱点は魔法石の効果を一時的に無効化する魔法か。そして一度、魔法石が無効化されると術者がもう一回魔法をかけ直さないと復活しない。魔法石を使わずに不滅魔法兵を作り出せば、弱点ない気がする。
「エル? どうした?」
「ごめん、考え事してた」
「そう……もう寝て、寝るまでポンポンしてあげるから」
「いやっ、いらないからっ」
2回目!