6話!
「げほっ、げほっ、はぁはぁ」
「大丈夫?」
セレンの手前まで来たところで歩いてしまい、ついに立ち止まってしまった。少しふらついたからネピアが姿を現して僕を支えてくれる。
「大丈夫……レガルからセレンまで走り切れなかった」
「それでも、距離は伸びてる」
最初やった時は半分も走れなかった。それから距離が伸びてきて、もう少しで完走できる。でもだからってアグラをかいているわけにはいかない。ヴェールは普通に商人の荷物を確認しながらだったけど走り切ったのだ。
「まだまだだよ、まずはこの距離を走り切れないと」
「……うん」
「少し休憩したいところだけど、もうちょっとだから走り切る」
ネピアが「わかった」と言いながら姿を消す。僕はまた走り出した。
「到着!」
セレンに到着して僕は声をあげてしまった。ネピアが現れて、僕の体に寄り添う。それほど長い距離じゃないし、途中で止まってしまった分、少しは休憩できていたみたいでそれほど辛くはなかった。
「ふらつくほどじゃないよ、ありがとう」
「一応、宿まではこうする」
「ありがとう」
辺りはもう暗くなっていた。灯りは全部ついていて、街の一部は昼とは別の賑わいの声があふれている。僕とネピアは宿に向かって歩き出した
「セルカはちゃんとした食事をとってるのかな」
僕は不安になって言った。
「きっと大丈夫」
「牢屋みたいなとこ過ごしてないかな」
「大丈夫……敵だけどマントの男を信じるしか」
「僕がもっと強かったら」
あの時、みすみすセルカをさらわれたりしなかったのに。悔しい思いが込み上げてくる。涙があふれそうだ。僕が強くなるという明確な意思を最初から持っていれば。貰った才能に浮かれて、勘違いしていた。
「エルは強い」
「全然……マントの男は魔力を使わずにあんなに強かった、まだまだ強さが未知数だ、次に会った時にやつが本気を出して、それを超える強さになっていないとまた負ける……セルカを取り返せない、また仲間を失うかもしれない」
強くなるにしても体を鍛える事と同時にもっと別の強力な技や魔法を身につけないと。
「エル、セルカと同じこと言ってる」
「あ……同じこと、そういえば」
強くなりたいってこんなに焦燥感がある事なんだ。セルカの気持ちを全くわかってあげれてなかった。
「僕は本当に……ダメな奴だ」
「そんな事……ない」
僕は顔を横に振る。
「鍛えなきゃ、休んでる暇はない……南の森に行く」
「今から? ダメ、夜目が効くモンスターにやられちゃう」
「夜は危険度が増すから、強くなれる……ネピアは宿に戻ってて」
僕は一人で南に歩き出す。するとネピアもくっついてきた。
「ダメ、でも行くならネピアも行く、一人で行かせられない」
2回目!