4話!
オリバーは特に特徴のない感じの男だった。中肉中背で顔も普通。次に会ったら気づかないかもしれない。
「意外とバラけてるね」
僕はどちらでもできるから前衛でも後衛でも少ない方になればいい。その時々で変えるのもありだ。今回の場合は後衛役でいい。
「え? というかその娘は? 一人って聞いたけど」
エミリーが不思議そうにネピアを見て言った。
「この娘は僕の杖持ちなんだ、サポーターというか」
そう僕が言うと皆が「あぁ」と納得するように頷く。当然変な勘ぐりが含まれていた。常識というわけではないけど、だいたい異性のサポート役を連れていると夜の相手役と認識されるらしい。面倒だから誤解はとかないけど。僕はネピアに自己紹介を促す。
「ネピア、エルのサポート」
ネピアも空気を読んだようで弱々しい声でそう言う。
「戦えないけど、姿を隠すのが得意なんだ、戦いが始まったら居なくなるけど気にしないでね」
ネピアが姿を消した時の言い訳を先にしておく。
「わかった、それでリーダーどうする?」
ウイリアムがみんなに向かって言う。リーダーになって特がある訳じゃない。だから基本的にみんなやりたがらない。それこそもともとチームでもなければ連携なんてないし。そして、リーダーに立候補する人がいなければ、だいたいが一番の年下にその役がふりかかる。
「じゃあエルさん……かな」
オリバーが先んじて言った。面倒事を引き受けておけば後で情報を聞きやすい。
「わかった、僕がやる」
僕の言葉に皆がホッとした。
「じゃあ行ってくるね」
受付へ向って、僕は登録証を出した。
「僕がリーダーで」
「承りました」
そう言って受付の職員は奥へ入っていく。
「エルの事、皆気づかなくなったね」
ネピアがそう声をかけてくる。僕はそれに頷くと言った。
「せっかくのチャンスがもう終わってしまう……早くしなくちゃ」
「うん」
焦りは禁物と言われたけど一番良い状態の時に見つけられずにこれから見つけられるのだろうか。そんな不安をどうしても考えてしまう。
「……さん、エルさん?」
「あっすいません」
職員の声に反応しなかった僕の肩をネピアが叩いて声に気づいた。
「処理は終わりましたので」
「ありがとう」
「くれぐれも気をつけて行ってらっしゃいませ」
職員がそう頭を下げる。僕もそれに対して「丁寧にどうも」と軽く頭を下げて、その場を後にする。
2回目!