3話!
談話スペースに僕たちは座って待つことにした。前ならこんな風に知らない人と積極的に何かをするなんてできなかった。セルカを探すという事をするため、できるようになったのだ。それだけは不幸中の幸いだったと思う。
「嫌な人じゃないといいけど」
ネピアがそう言うと僕はつい微笑んでしまった。
「なに?」
「ネピアも変わったね、最近、人間に興味を示すようになった」
「そう?」
不思議そうにネピアがそう言う。仲間を想う事は普通にあったけど、仲間以外の人間を前は嫌とか好きとかなかった。どうでもいい、どっちでもいいと言ってた。
「よくわからない」
表情は相変わらず無表情のネピアが言う。表情は豊かにならないのかな。それでも自分は魔道具と言ってた頃に比べたら人間になった。
「まぁ、いいさ」
このまま人間になってくれたら、僕が杖を使うのをやめていい。そういう事も思う。僕がネピアを使い続ける以上、彼女は杖として生きてしまうし。
「何か考え事?」
「いや……先の事を考えてたんだよ、今はまだまだ」
僕がネピアに微笑んでそう言っているとさっきの受付の職員がこちらに来た。
「お待たせしました」
「あっ、どうも」
僕がそうあいさつすると職員の後ろにいる四人の人物が会釈を返してきた。この人たちか。
「あとは皆さんで話し合って、行くならリーダーを決めて、依頼受領手続きをお願いします」
それぞれが職員のその言葉に軽く返事をした。それを見た職員は受付の方に去っていく。
「まずは自己紹介かな」
僕は先手を打つようにそう提案するとみんなが頷いた。
「じゃあ言い出しっぺの僕から……エル・モアです、魔法使いです、少し回復魔法使えます、近接戦闘も遠距離攻撃も両方できます」
四人から控えめの驚きの声があがる。少しだったとしても回復魔法がつけるのは重宝される。実際はネピアが補助してくれないとできないけど。
「じゃあ次は私が」
一人の女性が手をあげて言った。赤色の髪の女性で腰の両端に短剣をさしている。
「エミリー・ダルゴです、剣士です、片手剣を両手に持って戦うスタイルです」
エミリーが一礼するとその隣にいた、ガタイのいい男が言う。
「俺はウイリアム、拳闘がメインだ、それ以外はできない」
ウイリアムの殴る動きの風圧で一番華奢で小さい女性がよろける。
「あっすまない」
申し訳なさそうにウイリアムが言うと小さい女性が「いえ」と顔を横に振った。そして自己紹介を始める。
「私は……アイラです……弓での遠距離が得意です」
アイラは頭を結構な勢いで下げる。最後に残った男がアイラが頭をあげるタイミングを見計らって言った。
「自分はオリバーです、両手剣を扱う剣士」
1回目!