1話!
僕はレガルへ向う街道を歩いていた。一緒にいるのはネピアだけ。他のみんなはそれぞれがセルカの居場所を探っている最中だった。
セルカがマントの男に連れ去られてから二週間くらいが過ぎた。いまだ手がかりは一つも見つかっていない。
「はぁ」
「エル、最近ため息多い」
「……ごめん」
どうにもならないとため息って自然と出てしまうという事が唯一分かったことだった。
「収穫があるといいんだけど」
レガルに行って、そこのギルドで冒険者から情報を得る。僕はそっち方面の情報収集をしていた。ドサバはヨルセダとデークが親交が深いらしく、デークが冒険者から情報を集めて教えてくれる。だから僕はレガルへちょくちょく足を運んでいるのだ。
「レガルの支部長とヨルセダは仲悪いのかな」
「何いきなり?」
「そうなのかなって、デークみたいに協力してもらえないかなと思うんだよ」
派閥的な物とかあるのかな。ギルドはそうとう巨大組織らしいから。
「ネピアは興味ない……今はセルカだけ」
「……そっか」
でもセルカをどうして連れ去ったのだろう。何が目的なんだろう。クレブリアも全く予想がつかないと言っていた。可愛いから連れ去ったか。
「違うか」
僕は自分の考えを否定した。マントの男にそんな感じはしなかった。もっと別の何かの為に。そんな感じ。
「そういえばこうやって歩いてて声をかけられることも減った」
ネピアは不思議そうに言った。
「有名人でもだんだん飽きられて忘れ去られていっちゃうんだよ」
ゴーストの攻撃方法の発見者として名前を発表されてから少しの間はすれ違う人から声をかけてきていたけど今はそんな事なくなってしまった。有名人効果もそろそろ切れてしまう。セルカの印象もすでに普通の人と同じ程度になっているかも。
「だから早くしないと」
「忘れられるとセルカの記憶が残らなくなる?」
「そう、だから早く見つけたい」
そうだ、早く見つけたい。
レガルに到着するとすぐにギルドへ行った。もうすでに何度か来ているので場所も覚えてしまった。どこにどんな店があるかも覚えてきている。依頼を受けて準備して、依頼をこなす中である程度、冒険者と親密になって話を聞くから酒場や食べ物の店はよく利用していた。
「今度こそ有力な情報がほしい」
その為に色んなギルドを転々としているような冒険者がいる時、あるいはそういう冒険者が集まりやすい依頼を発見して、アミをはる。
1回目!