マントの男の企み
「セルカ、君の代までに私のブラッドスキルは薄まり、別物へと変化してしまったらしい、これでは私の望みは達成できない、残念だよ」
マントの男は言った。しかし、その声には残念という感情が含まれてはいなかった。
「正直、ホッとしてしまっている、ゴーストを使って村を困らせ、事を大きくして、君たち以外の者が依頼を受けてしまわない様に動いて、君が仲間から慕われているか確認した、出来る限り、孤独で居なくなっても誰も悲しまない人物を巻き込もうと思っていたからね」
微笑みを浮べてマントの男が続ける。
「君はとても慕われていて、いなくなれば皆が悲しむ……だから私のブラッドスキルが薄まっているのがわかってホッとしてしまったのさ」
マントの男は自嘲するように唇の端をあげる。
「孤独でなくてもその人しかいなければ結局、連れてくるんだ、望みを捨てる気はないから、だったら調べたりせず、すぐに誘拐すればいいのにできない……私は悪に徹しきれないみたいだ」
目頭を手で抑えてマントの男が少し疲れたように言う。
「でも、やめる訳にはいかない……私の血筋を受け継ぐ他の者を探そう」
そこまで言ってマントの男は何かを思い出したように話を変えた。
「そうだ、お詫びもかねて君のスキルを目覚めさせよう……それから、あの男の子、君の仲間の、あの子の成長の手助けの為に少しイジワルをしようか」
番外編です!