51話!
当然終わりにできるわけがない。セルカが連れ去られているのだ。セルカ自ら離れたならまだしも意思は無視されている。
「当り前よ」
「当たり前だぞ」
「当然」
クレブリアとヴェールとネピアがそう力強く言った。僕も最後に「終わりにできるわけがない」と加えた。
「では私の考えを言っておくのじゃ、その前にゴーディル」
「おう」
「私が前に言った事は……足を洗う気があるかという問いの答えを聞きたいのじゃ」
「足を洗う、だから今日ここに来たんだ……ただセルカの捜索をしたい、だから当分今までの状態でいさせてほしい」
ゴーディルは頭を下げてそう言った。
「当然、盗みははもうやらねぇ、今まで通りというのは自由にという事だ」
「そうか……同じような考えがあって話が早いのじゃ」
ヨルセダはそう言うとゴーディルが驚いたように顔をあげる。
「同じ?」
「ゴーディル達をギルドに迎える、ギルドの調査部隊としてじゃ」
「調査部隊? なにかしら?」
ギルドの調査部隊と聞いて僕たちは頭にハテナを浮かべる。ギルドで何を調査するのか。
「ギルドが依頼を受け付けて何の調査もせず、そのまま紹介すると思ってたかの?」
「あっ、そういう事」
いち早くクレブリアが何かに気づいたようだ。みんなクレブリアの顔を見る。
「クレブリア君、言ってみるのじゃ」
試すような笑みを浮かべてヨルセダが言う。クレブリアは微苦笑をしてから口を開いた。
「依頼の場所や周辺状況、適正金額の確認、そもそも本当にその依頼が必要か、達成目標が存在するか、いろいろ確認する事があったわ……ゴーディル達がやった様ないわゆる詐欺を防ぐための確認というのもあるかしら」
「そうじゃ……まぁ難しいところは赤字にならない範囲の調査しかできないという事かの、だからこそ、ゴーディル達の企みは看破できなかったのじゃが」
意図せず責めるような会話になってしまい、ゴーディルとその仲間たちは申し訳なさそうな表情を浮かべる。
「俺はそんな難しい事、考えてなかったけどな」
「そうか……まぁ今までの経験を活かして調査をしてほしいのじゃが、本題はそこじゃないのじゃ、脱線したから話を戻そうかの」
こほんと咳払いをしてヨルセダが話を続ける。
「ギルドとして、セルカ君の行方について、調査を頼みたいのじゃ……仕事じゃから賃金も個々に出す」
ヨルセダの申し出に歓声のような物があがる。ゴーディル達からすれば願ってもない事だ。
1回目!