49話!
「まずはそのマントの男が今回のゴースト騒動を起こした者と考えて間違いないわね」
「ゴーストに命令して、そのように動いてた」
「あと俺もその命令にやられたぜ」
ゴーディルが疲れた表情で言った。確かにゴーストだけならまだしもゴーディルまで操られた。
「ゴーストを召喚したというより、精神支配みたいなスキルか魔法かしら」
「うん……そんな印象」
「なるほどねぇ」
眉間にシワを寄せて、クレブリアが難しい顔をする。
「行動が謎だわ」
「謎?」
「セルカとマントの男は会ってたのよね? だったら人知れず連れ去ってしまった方が面倒がないわ、ゴーストなんて使わず、直接セルカを操ってね……わざわざこんな大事にして大勢の前に姿見せてさらって行った意味がわからないわ」
言われてみればそうだった。多分チャンスはあっただろうに。
「操る力はそれほど強くないんじゃねぇか? 俺は無理やり動けたぞ」
「ゴースト使ったのは単純に操る力が弱いせいかも」
ゴーディルの言葉に僕はそう答える。
「それは言えるかもしれないわ……大事にしたのは目立ちたがり?」
「あの! それより」
僕はクレブリアの言葉を無理やり遮る。
「僕はセルカを取り戻したい! さっきの話はどうすればいいか聞きたくて全部話したんだ、マントの男の分析は後でもできるし、今は……」
「セルカを助ける? 今はダメよ」
「なっ、どうして!」
「私だってセルカを取り戻したいわ、でもみんな消耗してる、エルもそうよ、その状態で捜索だなんて」
「でも!」
「しかも迷子とかじゃなくて、人が人を意図的に連れ去ってるのよ、これは見つければいいという話じゃないわ、戦わないといけない」
消耗していなければ結果は違っていたかもしれない。だから消耗から回復していない状態で事態が好転するとは思えないという事。実際、負けているし。
「数日は休むのよ、セレンに戻らないといけないし」
「エル、すまねぇな……俺が気絶しなけりゃ」
「ゴーディルは悪くないよ……僕が弱かったのが悪い」
そう、何もかも僕の弱さが招いた結果だ。
「自分を責めない!」
いきなり頭に衝撃が走る。クレブリアにゲンコツをされていた。ゴーディルも同じようにゲンコツされたみたいで僕達は同時に自分の頭をさする。
「時間の無駄よ」
「ははっ、ちげえねぇな、自分を責めてもしょうがねぇ、責めるより分析してそれを元に強くなれ……か」
「わかってるじゃない」
クレブリアが笑いながらそう言った。
1回目!