47話!
「剣が……」
スケルトンの剣がセルカの手から消えていた。ゴーディルが気絶したからか。その一瞬の隙でゴーストがセルカに群がる。
「セルカ!」
僕は群がったゴーストを払うように杖を振る。しかし、あとからあとから、ゴーストが群がっていった。
「セルカ!」
「それくらいでいい《散れ》」
マントの男の声で群がっていたゴーストが散っていった。横たわったままのセルカを残して。
「お前!」
僕はマントの男に斬りかかる。何度か攻撃を難なく、かわされる。
「怒りで鈍っている、冷静にならなければ私には勝てない」
微笑みを絶やさない、マントの男に僕はさらに怒りが沸き起こって、何度も斬りかかった。それでも全く攻撃は当たらない。
「筋がいい、まだまだ強くなれる」
「うるさい! だまれ! お前はなんなんだ!」
「君にはまだ私が名乗るほどの強さはないよ、あそこで伸びている彼に追いつくぐらいになりたまえ、でなければ一人の戦士として認めてもらえると思わない事だ、精進なさい」
優しく微笑みながらマントの男は言った。僕は悔しさで体が痺れる感覚がする。僕はそれを振りほどくように魔力を絞り出した。
「魔法陣展開! セーブスペル! 《雷霆》!」
マントの男に突きを繰り出しながら雷霆を同時に放つ。今まで大きく避けていないから、直撃は無理でもこれで雷霆に巻き込まれるはずだ。しかし、マントの男は雷霆と自分の間にシールドを張り、巻き込まれないように防いでいた。
「今のはよかった、ただ怒りのせいでわかりやすい」
攻撃が終わった直後の硬直を狙って、マントの男は僕の腹を蹴る。
「ぐはっ!」
魔力を体にまとっている様にも見えないのに、相当の威力の蹴りで僕は蹴られた方向に吹き飛ばされる。一回転だけ体が転げたけど、すぐに立ち上がって構えた。痛みが体を鈍らせている。
「なんでもかんでも魔力に頼ってはいけない、結局、ベースは体なんだ、鍛えが足らなければ、ただの体術に敗れる……今みたいにね」
マントの男がしゃべっている間に僕は距離を詰め、また攻撃をする。
「まぁ、根性は認めようか」
フードで隠れていて口元しか見えていないけど、さっきから全く微笑みが消えない。追い詰めることもできていない。ゴーディルに使った謎の力を使っていない。使うまでもないって事か。
「君を気に入ったよ……用事は終わったから、もう会う事もないと思ってたけど、また会えたらいいね、その時、名乗り合うに足る戦士になっている事を楽しみにしているよ」
マントの男はヒョイッと僕を乗り越えて、セルカの方へ着地した。
1回目!