45話!
「セルカの事、気にかけてって言ったの覚えてる?」
「うん、覚えてるよ」
「今の笑顔が私は怖いの、危険に赴くのに、セルカと……ゴーディルもよ」
困ったような表情をしたクレブリアが言った。
「二人を頼むわね……でも自分の命に変えてもとかはダメよ」
「わかった」
僕はクレブリアにそれだけ言うと、セルカとゴーディルを追いかけた。
声がする方へ行くとゴーストがヒュンヒュンと飛び回っている。すでに取り憑かれた人もいて、その人たちを助けて行こうと僕は杖にアンデット属性の魔力を集中した。
「エル、本当に使えるようになったのかい」
「そうだよ!」
「俺の専売特許取るんじゃねぇよ、ははっ」
無駄口をたたきながらもゴーディルはゴーストを着実に攻撃していく。攻撃を受けたゴーストは透明になって消えていった。
「ネピア、人間を傷つけないように、お願い」
『わかった』
取り憑かれてる人は暴れている。ゴーストだけに当てるのは骨が折れそうだ。とりあえず傷つけないとわかっていれば多少の無茶もできる。
「うぁぁ、やめあっぁ」
ゴーストが背中に覆いかぶさるようにくっついているおじさんがうめき声をあげて、襲い掛かってきた。僕はその突撃を避けて、ゴーストの背中を斬りつける。
「うがっ」
おじさんの声と共にゴーストは消えていった。
「おじさん大丈夫?」
「あ……ありがとう、ゲホゲホ、いきなり何なんだ」
「とりあえず、逃げて、ギルドの方」
おじさんはよろけながらも動き出す。途中で逃げているほかの人が駆け寄って、一緒に逃げて行った。
「ここの辺りの人が全員逃げるまで、守りに徹しましょう」
セルカの声にゴーディルと僕は返事をする。逃げている人の背後は隙だらけで、ゴーストにそこを狙われている。僕は何人かの取り憑かれた人を助けて、何とか守る。
「だいぶゴーストの動きに慣れてきました」
セルカが嬉しそうに声を張り上げた。
「セルカ! 気を抜かない!」
「わかってますよ!」
「エルこそ、背後がお留守だぜぇ」
ゴーディルが茶化すように言いながら僕の背後に迫っていたゴーストを斬る。
「ありがと……それにしても、ゴーストの数増えてるよね」
「村にいた分よりはるかにな」
「こんなに増えるものでしょうか」
セルカの言う通りだと思った。いきなり数が増えすぎじゃないか。結構斬ったはずなのに、まだ二十体強はいる。
「ははっ、丁度いい苦難じゃねぇか」
「言えてますね! 強くなるための!」
セルカとゴーディルは嬉しそうに言った。僕は呆れながら二人を見る。その時、ふと視界の端に人影が見えた気がした。ギルドとは逆方向、ゴーストがより密集してる方。僕はそちらに目を凝らす。
「人が……いる?」
1回目!