44話!
「どうしたのよ?」
ヴェールが肩で息をしながら言った。
「ゴーストが……ゴーストが街に」
「え? ゴーストが?!」
僕は驚いて大声で聞き返してしまう。
「エル! 声が大きいわよ! パニックになったらまずいわ」
最後の方は小声でそう言うとヴェールにもっと寄るように手招きする。
「まさか俺たちを追って来たか」
ゴーディルもさっきまでヘロヘロだったのにもうシャキッとして寄ってきた。クレブリアが「もう大丈夫」と僕の背中から降りる。
「わからなけど、宿にいたら外が騒がしいと思って様子を見に行ったらゴーストがいて」
ヴェールが小声でそう説明するとクレブリアが考える素振りを見せる。
「ヴェールはすぐにギルドへ行って、デークに知らせて」
頷いてヴェールはすぐにギルドの方へ向かっていく。クレブリアはゴーディルに体を向ける。
「ゴーディル、スケルトンの剣はどれくらい出せる?」
「出せるだけ出したいが、消耗が激しいんでね、五本出せたらいい方って所だ」
「わかったわ、じゃあ今出して、エルとセルカとゴーディル、あと二人で剣を持ってゴーストと戦って、あとは私についてきて街の人の避難を」
その場にいた全員が頷く。ゴーディルがサモンズスペルを使って、五本の剣を出した。セルカとゴーディルが剣を握る。
「僕はネピアの杖を使うよ、アンデット属性の魔力の練習をしてある程度は使えるようになったんだ」
「すげぇな、エル、じゃあもう一人増やそう」
そう言いながらゴーディルが自分の仲間から一人指差して剣を持たせる。僕はネピアから杖を受け取った。
「全員気を付けるのよ、特に一度、取り憑かれた人は消耗してる、無理と思ったら離脱して逃げて」
「おう……まぁ俺が全員守ってやるよ」
ゴーディルが自分の胸をドンと叩いて言った。頼もしい。
「あなたが一番心配なのよ、ゴーディル」
少し困った顔でクレブリアが言う。
「勇敢で沢山の人を守れる力がある、それは危険と隣り合わせという事よ」
「ははっ、心配すんな」
満面の笑みでゴーディルがクレブリアの頭をグシャグシャと乱暴に撫でて、そのまま走り出す。すでに騒ぎがこちらまで聞こえてきて、道がわからなくても大丈夫そうだ。
「行きましょう」
セルカが笑ってそう言った。そして走り出す。
「エル」
走り出そうとした僕はクレブリアに呼び止められて振り返った。深刻そうな表情をクレブリアはしていた。
2回目!