43話!
「動ける人は用意してもらった宿にいきました、ヴェールさんも」
「そうなんだ」
消耗の度合いの差は何だろうか。クレブリアとゴーディルもなかなか回復しない。さっきよりは良くなってるけど。
「セルカ、悪いわね、付き合ってもらって」
クレブリアが申し訳なさそうに言う。
「いえいえ、気にしないでください」
「おぶって宿まで行こうか? もう心配せず朝までぐっすり寝た方が楽だよ」
「あぁ、そうね、そうしてもらえるかしら」
「じゃあ……残ってる人も動ける人で担いで移動しちゃいましょうか」
「そうだね」
僕はクレブリアを起こしておんぶしようとする。
「支えてもらえば自分で歩けそうだわ」
「遠慮せず乗っちゃって」
自分で歩こうとしたクレブリアを少し強引めにおんぶすると小さな声で「ありがとう」と聞こえた。
「……私が取り憑かれなければ今頃、解決できてたかもしれない、申し訳ないわ」
「気にすることないよ」
なんだかクレブリアが弱々しい気がする。気力を根こそぎ持って行かれたのだろうか。
宿の方へ行って一度行って戻ってきた仲間の一人が道案内をしてくれると言う事でみんなで移動を開始した。取り憑かれなかった人でもやっぱり疲れはあって、全員がヨロヨロの状態だった。
「明日までには回復しないと」
「そうですね」
セルカも少し疲れが見えている。
「無茶だったかしら、私の判断ミスね」
やっぱりクレブリアが弱々しい。僕はクレブリアの太ももを軽くつねった。
「ひゃっ……何するのよ」
「ネガティブ禁止ね」
「……ふふ、そうね、またつねられるといけないから、気をつけるわ」
声のハリがいつもの状態に近づいた気がした。
「なんだかちょっと元気が出てきたわ……ゴーディルは……大丈夫?」
「あら? クレブリアさん乙女ですね」
意地悪な笑顔を浮かべたセルカが茶化すように言う。
「うるさいわね! 作戦の要だから……心配しただけよ!」
なんだかクレブリアの体温が上がったような気がした。どうしたんだろう。
「前は私と同じだったと認識してましたが……心変わり?」
「……まぁ、すこし」
「ライバルが減った方が私はありがたいです」
セルカがにこやかにそう言う。
「大変よ、鈍感だから」
「さっきからなんの話?」
そう僕が聞くとセルカとクレブリアが弾けるように笑った。
「ほらね」
「そうですね」
セルカとクレブリアが楽しそうにそう言い合ってまた笑う。女の子はよくわからない。
「クレ姉!」
「え?」
いきなり、ヴェールの焦ったような声が響いた。
1回目!