街 短編
ふと目が覚める。
薄明るい部屋の中。見慣れた天井。
枕元の時計は、5時半を示していた。
目を閉じれば寝ることはできる気がするが、どうもそんな気分じゃない。
しょうがないから、起きることにした。
シャワーを浴びてから、ジーパンを穿き、Tシャツに袖を通す。
なにも考えず、足の向くまま、外に出た。
まだ太陽が低い。
白っぽい朝日に照らされて、街がふわりと浮かび上がっている。
いつもと違う時間帯だと、街も違う表情を見せる。
まるで街が寝ぼけているかのようで、少し可笑しかった。
そんな感覚も、街の真ん中に近づくと、薄れていってしまう。
それは時間が経ったせいか、はたまた街そのものが持つ特徴なのか。
もの寂しい感は拭えない。
道を急ぐスーツ姿。朝までカラオケで歌っていた大学生。朝練に急ぐ中高生。
よくよく見ていると、いろんな人が通る。
これこそが、この時間のこの街のこの場所の顔か。
そう考えたら、街も生きているんだなぁと思えた。
いつでもどんなときでも、結局街は、人は生きてるんだなぁ、と。
目の前のコトをさばき、先から流れ来るモノを待つしか、僕らができることはないんだ。
そんなことを考えて、うちに帰った。