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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
最初の非日常(ファンタジー)
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非日常の足音

無駄に晴れ晴れとし、これでもかと陽光降り注ぐ夏空の下、学生達は至福の夏休みを満喫しているだろう最中に悠たちの住む笠山市は騒々しい雰囲気に包まれていた


【今日のお昼のニュースです。笠山市で連日多数の動物が連続して殺され、遺棄されているのが見つかった事件で新たに3か所で犬や猫、鳥などと思われる動物が殺され、遺棄されているのが見つかりました。警察は動物愛護法違反などの容疑で犯人の行方を追っていますが、近所の人の話によると、深夜遅くの山林近くでは最近聞き覚えのない動物の遠吠えを聞いたり、山の中で見たことが無い動物の姿が目撃されたりなどの報告が多くあり、専門家を交えて人的な事件ではないことも視野に捜査を進めるとしています】


【これだけの事を動物がしているとは考えずらいですが、笠山市並びに近隣にお住まいの方は出来るだけ家から出ず、また出る場合でも自動車やバスなどを利用するように心掛けてください。続いては次のニュースです――】


お昼のニュース番組から流れて来るのはここ2、3日で笠山市内で起きている奇妙な事件の話だった


深夜から未明の内に笠山市内の複数の場所で犬猫などが殺され、その死骸が路上などに遺棄されているという事件で、動物愛護法違反の容疑で警察が犯人の捜索をしているところだと言う


これだけならまだ過去にも事例の有る事件なのだが、奇妙な点が幾つか挙げられており、果たしてこれが人間に可能なのかという話がSNSを中心に広まっているのだ


「んー、郁斗はどう思う?」


「どうって?」


それはSNS等に馴染みのない二人の耳にも入っており、ニュースの内容や警察の捜査にも影響を及ぼしている様だった


「これ、人がやったのか、動物がやったのかって」


「んー、どうだろうな。俺らは別に警察みたいな操作のプロじゃないしなぁ」


居間に部屋から持って来た大きなビーズクッションに二人で背を合わせるように寄りかかっていた悠と郁斗も自身の街で起こっているこの奇妙な事件については非常に気になる事だった


この事件で道場は急遽休みにすることになり、豪は近隣の男性たちを引き連れ、警察の指導を受けた上で民間のパトロールをかって出ている


悠も行くつもりだったのだが、女の子に何かあっては大変だからと郁斗、郁香の子供たちや郁斗達の母である郁代や悠の母、桜も含めて高嶺家に集合させられていた


「ただ、1日の内に端から端までまでわざわざ移動して事件を起こしてるって言うのはちょっと考えずらいよな。普通、連続でやるなら皆近いところだろ?人にしても、動物にしても」


何せ事件は文字通り市内全域に跨っており東西南北関係なく、1日の内に端から端まで動いている場合もある程だ


様は相手の行動範囲がまるで分からないのだ、そもそも同一犯なのかどうかすらも怪しく、だからこそ道場を休みにしてでも、豪も街の治安維持に出ている


「だよねぇ。そもそもこんなこと何日も続けてどういうつもりなんだろ」


「それこそ犯人しか知らねぇよ。それに見たこともない動物ってのも気になるよな」


危険性も人数も、はたまた人間か動物かもわからないこの事件の犯人に対して、笠山市に住む人々の多くがとった行動は、出来るだけ屋内で多くの人と固まっておく、という事だった


人であろうと動物だろうと、わざわざ大勢がいる場所を狙うモノはそういない。こういうのは一人でノコノコ出歩いているのが狙われるのだ


こうして、高嶺家と間家の女性と子供たちは敷地の広い高嶺家の家に集まっているのだった


「エイリアンだったりしてっ!!」


「アホか、マンガやアニメじゃあるまいし」


二人の間を割る様にビーズクッションの上にダイブしてきた郁香にチョップを入れながら、郁斗は彼女の戯言にため息をつく


地球外生命体(エイリアン)など流石に妄言が過ぎるという物。身近な話と言うのもあって、あまり笑い話にもできないのもまた始末に悪いものだ



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