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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
変化の先の日常
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寄り道をしよう

帰宅を始める時間だと大よそ定めた15時のちょっと前の現在。いまだ太陽が元気よく照り続け、ジリジリと熱い日差しが降り注いでいる


その中、この暑い日差しに熱されたのか施設内の床の乾いた部分はまるで火で炙った鉄板のように熱く、四人の足裏を容赦なく襲っていた


「あっつ!!あっつ!?」


「ひゃっ?!こ、これ乾いたところは歩かない方が良さそうですね……」


熱い熱いと早足で駆け抜ける絵梨と桃に対して


「なぁ、いい加減離れろって」


「まだ無理……」


郁斗と悠は平気そうな顔をして歩いている。それどころか悠は抱き着く何時を郁斗の正面から背中に場所を変え、むぎゅりと上半身を密着させ、顔を肩に伏せながら歩いていた


「あんたら足熱くないの……?」


「いや、熱いけどまぁまだ我慢が効く範囲」


「道場だと素足で練習するから足の皮は分厚いのです」


なんで平気なんだと信じられないようなものを見る目で見る絵梨に郁斗は単純に我慢の聞く範囲、悠は道場での練習により、人より足の皮が厚いことを明かす


確かに柔道や剣道と言った物は基本的に素足で行う上、特に剣道は摺り足での移動が基本になる

そのため、足裏の皮が剥けることなんてザラにあり、それゆえに足裏の皮が人一倍分厚くなるのだ


「わ、ホントだ。悠ちゃんの足の裏、すっごい硬い」


「こういうところみると、やっぱ悠って武道に生きてる女子だって実感するわ……」


それを聞いて、実際に足裏を見た桃と絵梨は確かに自分の足とはまるで違うことを確認する


桃や絵梨の足の裏はやはり多少他の部分より皮が分厚く、硬いがどちらかと言うと全体的には赤味の有る血色のいい肌色が伺える


しかし悠の足の裏はそれとは異なり、まず全体的に白っぽい。分厚くなった皮が内側の血肉の通った部分を隠してしまっているので白っぽく見えるのだ


特に移動の際に体重をかける踵やつま先周りは特に皮が分厚く、どちらかと言うとタコやコブに近いようなくらいだ


それゆえにとにかく固い。本人がこの熱い床を平気な様子で歩けるわけであった


因みに郁斗は単純に我慢強いだけである。普段から鉄の理性を働かせている男にこの程度の熱さは敵では無いようだ


「とりあえず、更衣室行こうぜ……」


日差しの熱さには勝てなかったようだが





「いやー、何だかんだ楽しかったね」


「はい、人も少なかったので伸び伸び遊べましたし」


んーっと駅のホームで伸びをする絵梨と桃は満足そうに笑みを浮かべて、次に来る仙台駅行きの電車を待っていた


二人とも日焼け対策はしていたのでそれ程焼けている様子は無いが、少々鼻の頭や頬などが赤いので、後々泣きを見るかもしれないが、それも夏を楽しんでいる証拠とも言える


「まだ顔が熱い」


「誰にも見られてないのにいつまで恥ずかしがってんだよ」


「い、郁斗が見たかも知んないじゃん」


「人聞きの悪いことを言うな」


「あいたっ」


まださっきのことを恥ずかしがっている悠はほんのり赤い頬をぺちぺちと叩きながら熱を誤魔化そうとしている様で、あらぬ疑いを掛けられた郁斗は悠の額にデコピンをお見舞いしていた


「はいあいお二人さーん、イチャコラしてないでこっちに来なよ」


「帰りにアイスを食べに行きませんか?美味しいジェラートのお店が仙台駅の近くに出てるんです」


そんな二人をホームの方にいた二人が手招きして誘う


どうやら、帰りに寄り道する計画を立てていたらしく、夏らしく美味しいジェラートを頂こうとの算段らしい


「おっ、アイスか、良いな」


「アイスも良いけどかき氷とかも食べたいな。探せばありそうな気がする」


郁斗もそれに乗り気で悠に目配せしてみると、悠も氷菓子を寄り道して食べるのには賛成の様だ


ただ、ジェラート以外にも選択肢としてかき氷を提案している

かき氷も最近は専門店がちらほらと出来ており、お店によっては年中楽しめるところもあるらしい



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