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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
変化の先の日常
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仙台レジャーランド

ズズズっと麺を啜る音と、カツンとスプーンが皿に少し当たる音が嫌に響く寂れた食堂のプラスチックテーブルでそれぞれ頼んだ昼食に舌鼓を打つ四人はこの後どうするか、そもそも何時頃までいるのかを話したりしていた


「15時くらいが妥当じゃないか?ちょっと早いが、電車の移動時間も考えるとな」


「かなー、山の中だから電車も1時間とか30分ペースだし」


「流石に仙台の地下鉄みたいに10分とか5分では来てくれませんよね」


何だかんだ、ここに来るのも待ち時間も含めると一時間弱くらいの時間が掛かっており、各々の体力やアトラクションを遊びつくす意味でも精々あと二時間が妥当なラインだろうと言うのが4人の出した結論だった


ここから15時頃までは特に日差しも強く、幾らプールで遊んでるとは言え体力はガンガン減っていく

それに水遊びと言うのは思ってるよりも体力を消費する遊びである


プールの授業後の授業でクラスの半数が撃沈している光景は心当たりがあり過ぎる光景だった


「……んむ」


「ついでに悠が既に船を漕いでる」


「悠ってば休憩なしでずっと遊びっぱなしだったもんね……」


「一番体力ありそうなんですけどね」


おまけに悠がカレーを食べながらうつらうつらと船を漕ぎ始めていた


普段から修練を積んでいて、他の面々よりも体力に優れる悠だが慣れない水中での運動と休憩なしで遊び続けた結果、だいぶ早い電池切れが訪れた様だった


包み隠さず言えば、はしゃぎ過ぎた結果になる


「起きろ悠、せめて食うか寝るかにしろ」


「食べる」


「眠気よりは食い気ね」


「お冷持って来ますね」


頬をピチピチ叩かれて寝ぼけ眼が幾分かマシになった悠に微笑まし気に口元を緩ませる一同は再び、それぞれが頼んだメニューを口に運ぶ


「しかし案外美味いな。久々に食べたぞ、わかめが入ってるラーメン」


「言われてみると最近は滅多に見ないよね。冷やし中華も割とイケるし」


「その場の雰囲気はあるかもしれないですね。温泉上がりのコーヒー牛乳的な」


「「あー」」


それぞれ頼んだメニューは悠がカレー、郁斗がラーメン、絵梨が冷やし中華、桃が冷やしたぬきうどん


思っていたより味は悪くなく、まぁだからと言って絶賛するほど美味い訳でもないのだが良くも悪くも馴染みのある味というのは親しみもあり、好まれる味だろう


桃の喩にも各自納得しながら、寝そうになる悠を起こしつつ、緩やかに昼食の時間は過ぎて行く


「んー、食べた」


「半分寝ながら食ってたやつがこうもあっさり復活するとはな」


「やっぱお日様当たると嫌でも目が覚めるじゃん?」


食事を終え、半分寝ていた悠を半ば引き摺る様に出てきたわけだが、当の本人はお日様に当たればあっという間に眠りこけていたことなど忘れましたと言わんばかりに目を覚ましている


その様子に半ば呆れも見せながらさて、次は何をしようかと再び案内版を覗き込むと


「ウォータースライダー!!」


「ハイハイ」


「完全にハマったね」


間髪入れずに悠からウォータースライダーの注文が入り、ぞろぞろとまたそちらに向かうことにする


昼食前に初体験したウォータースライダーが大層お気に召したようでルンルン気分の悠の様子に絵梨はふとした疑問を浮かべ


「そう言えば、悠ってこの手のレジャー初心者?普通なら一度くらいはウォータースライダーくらい経験したことある人の方が多い気がするんだけど」


「あー、どうなんだろうな。実は俺も初めてやったからな」


「えっ、そうなんですか」


「実を言うと俺も悠もあまり友達と遊ぶって言う経験が無い」


「えっ」


「……ぼっち?」


「違うわ」


絵梨の無遠慮な物言いに反論しながら、自身と悠がそもそも友人と遊ぶということ自体が少なかった原因を考えながら話すことにする


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