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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
変化の先の日常
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仙台レジャーランド

周囲にいる家族連れやませた小学生くらいの男の子がそんな惜しげもなく晒された肢体にちらちらと視線を向けていることなど露知らず、悠は絵梨や桃と一緒に飛び跳ねたり走り回ったりなどの大はしゃぎをしている


その度に揺れる胸元に、奥さんと一緒に子供たちが遊ぶのを見ていた旦那さんが釘付けになり、思いっきりぶん殴られていたりもするがやはり本人たちは気付く様子もなかった


「いえーい!!郁斗もちょっとはこっち来たらー?」


「大人しく荷物番しとくからたっぷり遊んどけって」


「はーい」


それどころかテンションが上がって来たのか、郁斗を改めて誘う始末だ


郁斗ととしては多少のジャンプくらいなら問題ないだろうが、一応、全員分の金銭や携帯をまとめた鞄を預かっている以上は荷物番をしない訳にもいかないので丁重にお断りしておく


「しかし、まぁ、良く揺れること……」


と、いうのは半分くらいは建前で、実際のところは悠のたわわに揺れる胸部を遠くから見ていても何ら不思議に思われない立場を利用した目の保養である


如何に郁斗がイケメンだとしても根っこはスケベな男子高校生なのだ


むしろ、常日頃から悠からの無意識なボディタッチや下着等のチラ見え等など、一介の男子高校生の下半身を刺激するには十分な破壊力をもったそれらをどうにかして耐える彼の鋼の精神力と自制心を高く評価するところなのだ


「はあぁ、ホント無駄に可愛くて困る」


それはもう郁斗の本心から出た言葉で、郁斗から見ても悠はまごうことなき美少女で、数多の女の子たちから好意を寄せられ、その全てを断ってきた郁斗ですらなんの事情も知らなかったら付き合ってしまってるんじゃなかろうか、なんて思ってしまう程


「てか、なんで好みドンピシャなのか……」


そして何より郁斗の好みにピッタリとハマる容姿と性格


何より気心の知れた幼馴染と言うのは、正直、揺さぶられるモノはある


ただ、電車の中で絵梨と話した通り、(ユウ)とは親友だ。幼いころから楽しい時も辛い時も怒られる時や褒められる時だってまるで双子の兄弟の様に常に一緒にいた幼馴染なのだ


膝を怪我し、サッカーを辞めざるを得なくなって意気消沈してどん底のようだった去年の秋の終わり

誰のせいでもなかった不幸な事故を悠は自分のせいだと責め、同時に郁斗がこれ以上腐らぬようにあの手この手で必死に元気づけてくれた恩人


そんな『何よりも大事な相手』に恋愛感情だとか、そういう下世話な物を向けるつもりは郁斗は毛頭ない


それでもふとした時には目を奪われることは多い。特に郁斗と接している時の悠は他の男子を相手にする時と違ってだいぶガードが甘く、それ故に目を奪われてしまうとも言えた


こればっかりは男のさが、という事で勘弁してほしいと郁斗は思う


「はぁ、でもまぁ腹に決めたことだし、ウジウジ言っても仕方ないか」


それでも郁斗は決めたのだ


前代未聞の困難に立ち向かう幼馴染の力になろうと


自分が辛かった時、支えてくれた時と同じように今度は自分が支える番なのだと、郁斗はそう心の中で再び誓った









ひとしきり遊んだ四人、もとい正確には三人はウォータートランポリンから場所を移し、定番の流れるプールへと来ていた


「あー、疲れた」


「あんだけ騒げばな。見てるこっちも楽しかったよ」


ゆらゆらと大きな浮き輪の中に腰を落として流れに身を任せる悠と、その浮き輪に腕と顎を乗せて、同じくぷかぷか浮かんで流されている郁斗はさっきまでいたウォータートランポリンについて感想を言いあったりしながらのんびりと過ごしていた


絵梨と桃の二人は疲れたとの事で近くの日除けの下で休憩中である


この辺は普段から運動して体力のある悠との差が出ていた



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