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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
変化の先の日常
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水着選び

困惑する郁斗のことなど一切考えずに腕を掴んでズンズン進む悠は水着が並ぶ店内の一角まで来るとパッと手を離し、郁斗に向き直る


「どうした急になんか変だぞ?」


「選んで」


「は?」


「水着、郁斗が選んで」


「……マジで言ってる?」


「マジで」


いつもならやらないであろう行為に困惑からとうとう心配へと切り替わった郁斗が話しかけるのも束の間、悠からのトンデモ発言に再び郁斗は困惑するしかない


とびっきりの美少女になってしまった幼馴染の水着を純粋な男子たる自分が選べと言うのだ

悠自身がそう言ったお洒落に関する審査眼を持っているのにも関わらずだ


「その、俺の趣味が露呈するし、そういうのをお前に押し付けることになるが……」


健全な男子としては目の前の間違いようもない美少女と化した幼馴染が自分好みの水着を着てくれるなら大変な目の保養になるのは間違いなし


その辺は如何に郁斗言えども健全な男子高校生だ。例えかつては男だった幼馴染とはいえ、そういった光景には若干鼻の下が伸びてしまうのは致し方ないし、ちょっとどころか正直物凄く見たい光景ではあるのだが


「別にいい。どうせ見せるの郁斗くらいしかいないし」


「いや、絵梨とか小高とかがいると思うが」


「いいから選んで」


「お、おう」


自らの好みが紛いなりにも異性に露呈するのと、何やらエライ気迫で圧倒されているこの状況は全く嬉しくないことだった


こうして、郁斗は悠に着て欲しい水着を自らの手で選ぶことになったのであった。ハッキリ言って公開処刑も良いところである


「こ、こういうのはどうだ?」


「ふーん、こういうの好みなんだ」


「い、いいだろ別に」


郁斗が示したのは白のホルターネックと呼ばれる水着で特徴はトップスの部分を固定する際に通常なら背中と肩を通して着るのに対して、このホルターネックは肩ではなく首に紐が伸びていることだ


これにより胸が通常のビキニよりもしっかりと固定され、位置ズレや隙間などが少なくなる上に女性らしさも損なわれないデザインの良さも売りの定番な水着の一つである


因みに巨乳の女性が着ると、通常よりもぐっと持ち上げられるようにして固定されるのでだいぶ谷間が強調されたりする男子ウケの良い水着でもある


「じゃあ試着してみるからそれも確認してね」


「えっ」


サイズを手早く確認し、自分のサイズに概ね合っていることを確認した悠はその水着を手に取ると試着する旨を伝えて、試着室のある一角までまた郁斗を引き摺って行くと自分はさっさと試着室に入ってしまう


郁斗としてはこの女性の空間に男一人でいるのが大変辛いどころか、事情を知らない人からすれば試着室の前にいる男と言う何とも怪しい光景の完成である


当然、店内にいる他の女性客の視線にさらされ、針の筵にいるような気分を味わいながら、悠が手早く試着してくれるのを待つしかないのであった


「ふーん、アイツこういうのが趣味なんだ」


そんな郁斗のことなど露知らず。無理矢理好みの水着を選ばさせた悠は選んでもらった水着を試着室の壁にかけ、スルスルと身に着けていた衣服を脱いでいく


水着の試着と言うのは基本的には上は直接、下は下着の上からか専用のインナーがあればその上からするのがマナーである、と桜から教わっていたので悠は水泳の授業でも使っていた透けやズレ防止の水着用インナーを鞄に入れていたビニール袋から取り出して身に着けて行く


下着の上からだと若干ごわついていまいち着用感が分からない、というのも桜からのアドバイスだった

そうして手際よく水着を試着した悠はカーテンを開ける前に試着室の鏡でおかしなところがないかを確認する


「なんか、急に恥ずかしくなってきた」


鏡に映る姿はサマになっているの一言で、引き締まった身体つきとそれでも出るとこは出ているいいとこ取りのワガママボディは飾り気のないシンプルな水着でも実に栄えて見えた


こういった女性らしさが前面に押し出る水着という衣服を郁斗が自分に着せるなら、と考えて選んだと思ったら悠は急に恥ずかしくなって来たのだ


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