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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
変化の先の日常
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夏休みスタート

昼食を終え、各自の着替えなどの準備を終えた二人は笠山駅へとバスを使って移動し、待ち合わせの10分ほど前に無事に笠山駅前へとやって来ていた


「あっつー、バスから出ると炎天下も良いところだね」


「今日も真夏日らしい。お互い水分補給に気をつけないとな」


ジリジリと焼くような日差しと辺りの木々に止まって鳴いているアブラゼミの声が如何にもな夏を演出している最中、頭一つ出た背高のっぽの女子とその横で駆け足する割と小柄な女子がこちらに来るのが見える


「絵梨ちゃーん!!桃ちゃーん!!」


悠が手を振ると手を振り返して来たので間違いなく絵梨と桃の二人だろう。そうでなくとも背の高い絵梨と小柄な桃の組み合わせは案外目立つものだった


「お待たせしました」


「いやー、二人とも早いねー」


「こっちも丁度今着いたんだ。暑いから電車来るまで中入ってよ」


暑いねと口々に漏らし、四人は駅舎の中に入り弱くとも冷房のかかった建物内に入って切符を買い、時間まで存分に涼むことにする


「2時台の電車って15分くらいだっけか」


「18分だな。俺、コンビニで飲み物買って来るけどなんか飲むか?」


「なんか適当なスポーツドリンクで」


「サイダー!!」


「こ、紅茶で……」


「……悠に聞いたつもりだったんだが、まあいいか。買って来るから金は出してくれよ」


次の電車が来る時間を示す電光掲示板を眺め、次が何時頃なのかを確認したところで郁斗は悠に飲み物を買って来る事を伝えると便乗して絵梨と桃の二人からも注文が入り、郁斗は渋々だが飲み物の代金を受け取るとコンビニへと向かった


「いやぁ、間も甲斐甲斐しいよねぇ」


「え、なにが?」


「普通、女の子三人で水着買いに行くなんて言ったら、男の人はついて来ませんから」


ニマニマと笑う絵梨に首を傾げると、桃が苦笑い気味にその理由を答える


言われてみれば、女子の買い物に着いて行く男子なんて中々いたもんじゃない

長い買い物、見るだけで買わずに店を回るウィンドウショッピングや女性専門の店も入ることもあることを考えると郁斗には苦行を強いてしまっているのではと悠はふと考える


「それだけ悠が心配なんだろうねー。ま、この前のこともあるし、少なからずボディガードとは言えなくても虫よけになる男子がいるのは心強いかな」


「しっかりしている様でちょっと危なっかしいですもんね」


「え~、そうかなぁ?」


「私もそれには同意だわ。で?それよりも水着どんなのにする?とりあえず悠はビキニでしょ?」


「せめてパレオは巻きたいかなぁ」


「私は出来るだけ大人しいのに……」


「えぇ、桃も可愛いんだからこの際とびっきり可愛いのにしようよ」


女が三人集まれば姦しいとは言ったものできゃいきゃいと始まったお喋りは次々に話題が移ろいでいき、気が付けば最初の話題からも水着の話題からも大きく外れたものになっていた


「随分賑やかだな。ほらよ、飲み物」


戻ってきた郁斗が飲み物を配ることでその話題は一時中断となり、それぞれが買って来てもらった飲み物を受け取ってお礼を言うと鞄に閉まったりその場で開けて一口飲んだりする


「で?なんの話をしてたんだ?随分と盛り上がっていたが」


「ぶさかわ猫がどうしてあんなにぶさかわなのかについて」


「意味が分からん」


思ったよりもしょうもない内容だったことを笑いながら二人は揃ってスポーツ飲料を口にする

飲みなれたグレープフルーツ風の味が暑さで乾いた咥内をサッと潤し、サッパリとさせる


「やっぱアクアリアスは味濃いね」


「俺らは薄味のタイプで飲みなれてるからなー」


普段、二人が飲みなれているもっと薄味のスポーツドリンクとの微妙な違いを感じながら、時計を見ると14分まで時計が進んでおり、そろそろホームに立っていた方が良い時間帯になって来ていた




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