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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
変化の先の日常
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おつかい

朝食は高嶺家ではお馴染みの和を中心としたメニューで、メインは焼き鮭。後は小松菜の胡麻和えと大根と豆腐の味噌汁、そして白いご飯である


典型的なTHE 日本の朝食と言わんばかりのラインナップだが高嶺家の邸宅も純和風、悠も和風美人なためその朝食と取る様子は無駄に絵になっている


「あー、おいし。やっぱ朝はお茶漬けだよね」


「またそうやってお茶漬けにして掻き込んで、ちょっとお行儀が悪いわよ」


「美味しいんだから良いじゃん。この焼き鮭が一番合うし」


ことはなく、お茶漬けを胃に流し込む悠に桜が呆れているというのが現実だった


ちゃんと正座はしているし、それ以外なら綺麗に食べているのだがうら若き乙女(一先ず見た目だけなら)がガツガツとお茶漬けを食べる姿は何と言うか、少し幻滅してしまうような光景である


「はぁ、まぁ元気でよろしいという事にしましょうか。その元気さついでにおつかいに行ってもらおうかしら」


「えー、夕飯のおつかいなら夕方でも良くない?」


「お昼のおかずは漬物だけになるけど」


「行って来まーす」


昼食を人質にとるとは卑怯なり、と心の中で愚痴を吐きつつ悠は残ったおかずと味噌汁をさっさと書き込んでいき、ご馳走さまと言うと食器を片付けて歯磨きと髪を軽く梳いてから部屋へと戻る


「おつかいだし、適当なのでいっか」


部屋に戻るとすぐに寝間着のTシャツとジャージを脱ぎ捨て、ベッドの上に放り投げる

世の中の男性諸君は決して幻滅してほしくないのだが、如何に美少女言えど自宅、自室にいる時まで美少女が美少女然としている訳はないのである


今時、可愛らしいパジャマを常日頃使っている女子高生など恐らくごく一部の少数で、殆どはTシャツ、ジャージ、スウェット、あとはちんちくりんな薄い着ぐるみみたいなものを着ていることが大半


悠は元男と言うのも相俟って最近は桜の女の子教育から一歩抜け出した今時のちょっとズボラな女子高生にシフトしつつあるのだ


ぽんぽーんとあっという間に下着姿になった悠は箪笥を開けてパパッとワイドパンツタイプのデニムと黒のキャミソール、同じく黒のレーストップスを取り出して、またパパッと着る


ゆったりとしてくびれ部分までの高さがあるワイドパンツをベルトでサッと止め、キャミソールとレーストップを着てしまえば夏のお手軽コーデの完成である


後は適当にうなじ辺りで軽く髪を纏め、肩口に垂らすだけでもうそこそこのお洒落さんである


お洒落に目覚めた悠は近所のスーパーに出掛けるのも寝間着ではいかないようにしているのだ

と、仰々しく言うと聞こえはいいがもっと簡単に言うと流石に真昼間に近所とは言え寝間着で行くのは恥ずかしいだけである


「着替えたよー。メモとかあるのー?」


「スマホにメッセージ送っておくからそれ見てくれるー?はい、これお金ね」


後は財布とスマホを持って下に降りれば桜がお金を渡していざおつかいである


お使いのメモがスマホのメッセージで送られるのも今時だ


「じゃあ行って来まーす」


「気を付けてねー」


ガラガラと玄関の引き戸を開けて、外に出ると10時前だというのに日が照って夏を主張していた

暑い日差しに若干顔を顰めつつも悠は自転車に乗ってスーパーへと向かいだす



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