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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
変化の先の日常
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仙台散策と最初の再会

あの後、以前も悠の主治医を担当した医師にまた君かねとボヤかれながらも簡単な診察と怪我等の確認を済ませ、今日明日は検査入院で安静にしているようにときつく言われる


この短期間に二回も外傷で担ぎ込まれたのだ、そこそこのヤンチャ坊主、もといヤンチャ娘と認識されているのかも知れない


「じゃあお母さんは一旦帰るわね。悠の着替え持って来ないと」


「その間は俺が様子見ときます」


「ちょっと、私は別に抜けだしたりとかそういうのはしないんだけど」


「容体が急変する可能性に備えてだよ」


「……むぅ」


時刻は16時へと移ろいでおり、そろそろ面会の時間も終わる時間。目覚めたとは言え入院することが決まっている悠の着替えを取って来るために桜は一度席をはずし、足早に病室を去っていく


そうして桜が完全に病室から離れた事を確認したところで、郁斗は今まで見せていた接待スマイルからスッと表情を変えてキリリとした真面目な顔で悠のベッドの脇にある椅子に腰かけた


「で、今回の相手は前の?」


「……うん、アイツ。今回も、手も足も出なかった」


話題は今回相手した奴について。正直、(ハルカ)(ユウ)に戻る事について危険が伴うとして否定的な桜にはあまり耳に入れさせたくない話題でもある


悠が敵わなかった相手、という時点で桜も気が付いているかも知れないが特に触れて来ない以上は憶測として気が付いていないことを前提で二人は話を進める


もし、今回の件も前回と同じあの男による明確な襲撃と知られた場合、桜は悠に今は無い行動制限を掛けたり、悠だけを連れて遠方に引っ越すなんてこともするかも知れない

それくらい、桜は悠に対して機敏に反応する


それを考えると、この話をするに際して、桜を遠ざけるのは自然なことだった


「それは仕方ないだろ。まだ前みたいに動けていないんだろ?」


「模索中、かな。今度ちょっと先輩に相談しようと思う」


「先輩……?あぁ、あの人か」


先輩と言われて一瞬怪訝な顔をする郁斗だったが、すぐに該当する人を思い出し成る程と納得した

確かに『あの人』なら文字通り様々なことについて悠にアドバイスをくれるだろう、と


「ほどほどにしとけよ。先輩たちは今年受験なんだし」


「そりゃね。ただ今回ばかりは私一人じゃ結論を出せそうにないからちょっと先駆者の方に、さ。それはそうと今回はアイツが意味深なことを言ってたんだ。というよりは私が前回聞き逃したが正しいみたいなんだけど」


「ん?」


その『先駆者的立場な先輩』の事はまず横に置いておいて、悠は今回の件で男がした発言について郁斗に話始める

こういった、言葉の端々から情報を読み取るのは郁斗の方が得意だ


「うーん、悠から聞いた話から察するに、分かったことは大まかに4つってとこか」


「4つ?」


あぁ、と返した郁斗が手を目の前に差し出し、人差し指を立ててまず一つ、と力説を始める


「悠も分かると思うが、その男は悠を襲撃する理由はあっても殺す理由は無い。むしろ生かす理由があるって点だ」


「うんうん、それは流石に私も分かる。二つ目は襲撃ないし接触してくる理由は私の実力確認的な意味かな?


悠がそう言った情報の分析が苦手と言ってもその位は察しが付く、ついでに悠の予想も話してみると郁斗はコクリと頷いて肯定の意味を示して中指も立てて指はピースの形をとる


「なんでそんなことするのかは分からないけど、稽古って言葉が出て来てるってことは目的の一つは悠の実力の向上ってことになる。それなら何で(ユウ)(ハルカ)にした理由がさっぱりだけどこれが二番目。三番目も簡単」


「アイツが一番最初にあった時、恐らくは私にとって最も重要な情報を掲示していた可能性があるってとこかな。こればっかりは私が聞きそびれたのが原因なんだけど」


はぁ、と肩を落とす悠に仕方ないさと郁斗は宥める。殆ど瀕死の重傷だと最初は言われていたのだ、それが今の身体になって綺麗さっぱり消えたものの、それだけの傷を負って二三言会話出来ただけ凄いことだろう



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