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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
変化の先の日常
50/206

仙台散策と最初の再会

距離を取り、男の言ったことに首を傾げる悠を見て男はくっくっくっと肩を揺らして笑う

バカにしている、というよりは単純に愉快さを押し出した笑いだが、真剣な悠はカチンと来て寄っていた眉根を更に寄せる


「スマンスマン。いやなに、今回はあれだけの重傷を与えたことをすっかり失念していた自分の馬鹿さ加減に気付いてな」


「あんたねぇ……っ!!」


ピキピキと悠の額に青筋が増えて行く。舐められているのは一目瞭然

しかし元からの実力差に加えて身体が女の子に変わってしまったことによって溝が深まってしまっていることを夢はしっかりと認識して、怒りを理性で抑え込む


「そうだ、こういうのはどうだ?俺を本気にさせたら俺があの時なんて言っていたのかを教える。貴重な情報だ、喉から手が出る程――」


「――蔓延れ」


恐らく、恐らくだが男は悠をおちょくっているつもりはない。きっと率先して自分と相対するための釣り餌のつもりだったのかも知れない

それが一体何の意味があるのかは、分からぬままだが


そして男は釣り餌の大きさを盛大に間違えたことを悠がつぶやいた文句で悟る

高嶺 悠の剣の腕自体は間違いなく達人のその域にある


前回は家訓を遵守し、決して振るわれることが無かった秘剣


「【(カズラ)】ッ!!!!!」


【名付きの型】が男目掛けて容赦なく振るわれた

振るわれた技は【蔓】。斬撃が地を這い、遠方の敵にも攻撃できる技だ


慌てて男はその場を跳び上がってその斬撃を避ける。地面を抉る様に放たれた斬撃は大した威力が無いように思うが決して侮ってはならない。一撃必殺が高嶺流の流儀。その奥義たる【名付きの型】はその名に恥じない化け物じみた攻撃力を秘めている


この【蔓】も見た目の派手さは無いがその一撃必殺の流儀に恥じぬ威力を秘めているのだ

欠点は相手が地面に立っていないと当たらないところだろう


「【名付きの型】を使うとはな。破門されても知らんぞ?」


「バレなきゃ問題ないし、アンタなら一発くらい当たっても生きてるでしょ」


「意外と怖い事サラッというな。女になってちょっと性格変わったか?」


当然のように言って見せる悠に流石の男も冷や汗を流す。まさか開き直られて【名付きの型】を使ってくるとは予想外も良いところ


仕方なく男は思考を切り替える。当初の予定から変更、と言った具合だろう


「少々手荒く行くが、よく見ていろよ?」


男はここでようやく構えらしい構えを取る。男の殺気を感じ取り、悠も構え、万全の体勢を見せたところで


「一瞬に咲け【月下美人】」






バキバキバキッ!!と大きな音を立てて悠の右隣にあった木製の柱と壁がへし折れ、吹き飛び、悠も5m以上吹き飛ばされて反対側にあった空き店舗の壁を突き破ったところでようやく止まった


「……やり過ぎたな」


明らかに過剰な威力。少なくとも人間一人に対してぶっ放す技ですらないが男は実にあっけらかんとした口調でぼやくと自身が持っていた木刀と悠の手から吹き飛ばされた木刀を拾いその場から立ち去ろうとしたところで


「悠?!」


「悠ちゃん!!!?」


「うえぇ!?今の何?!どったの!?!竜巻?!?!」


ドタドタと三人の男女が破壊された空き店舗に駆け込んで行くのを横目に見て、フッと笑う


「友人に恵まれるのは変わらずだな」


ボソリと誰にも聞こえないような声量で喜びとどこか哀愁漂う声色で呟かれた言葉はやはり誰にも届くことなく、男の姿と共にかき消えた



安定した更新が出来ず、大変申し訳ないです


一人暮らしって思った以上に大変ですね……

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