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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
変化の先の日常
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仙台散策と最初の再会

そうやって二時間程、ウィンドウショッピングを楽しんだ一同は商店街の中でもかなり奥まった端っこの割と人通りの少ない区画へと足を踏み入れる


「この辺は初めて来るなぁ、飲み屋さんとか飲食系が多いね」


「かなり端の方だし近くにオフィスも多いからじゃないか?仕事帰りに飲んでく人がターゲット何だろうな」


辺りは飲食店が軒を連ね、ちょっと前の様々な種類の店が豊富に並ぶ様子とは違う景観だ

多くの店はお昼にもなってないこの時間帯は準備中の掛札がかかっており、それっぽく言うのであれば、まだ眠っている街とでも言うべきだろう


「ねーねー、二人とも~。ちょっとこっち来てみてよ」


そんな静かな昼の商店街をキョロキョロと見回していると、絵梨が面白いものを見つけた様で大きな声を張りながら二人を呼び付け、手招きをする


「悠ちゃん、見てみてください」


少しはしゃぎ気味の桃にも急かされ、来た場所は提灯がいくつか下がる見た目ちょっと珍妙なカラフルな外壁が特徴的な一角で恐らくたくさんのお店があります、という意味と思われる『100 MARKET』の文字が割と大きめに掲げられていた


「此処がどうしたの?」


「良いから中を見てみて。凄いよ」


「ん?おぉ、成る程な」


珍妙な見た目から特に気にもしていなかった区画だけに何が絵梨と桃を興奮させたのか分からなかった悠だが、先に中を覗き込んだらしい郁斗の感嘆の声を聴いて続けてその区画を覗き込むと


「わ、すご……」


そこには悠も驚く、見慣れない。だけど少しワクワクするような不思議な風景が広がっていた


「映画のセットみたいだよね。私も初めて見たんだけどすっごい良い雰囲気だよね!」


ふんすと鼻息を鳴らす絵梨も覗き込んだその先には細い路地に個人経営の小さな店々が並ぶ、独特な雰囲気を持った光景であった


絵梨の言う通り、まるで映画のワンシーンを切り抜いたようなちょっと日常から外れたこの路地は多くの店が準備中の時間ではあるもののその雰囲気は失われずに静かに華やぐ時間を待っている様である


「ちょっと奥まで行ってみようぜ。なんかワクワクする場所だ」


「良いね、行こっか」


こういうところに心惹かれるのはやはり男衆で(片方は肉体的に女子であるが)興味津々と言った様子でズンズンと進み始める


こういった異質、というか他と明らかに空気が違う場所に多少なりとも警戒はしていた絵梨と桃は奥へと進んでいく二人に気付いてから慌てて追いかけることになり、キョロキョロと辺りにある提灯や開いているお店を覗き込んだりする


建物自体も見てくれはおんぼろと言った感じでトタン屋根なども目立つがそう言った古ぼけた雰囲気がまたこの通りに味を出していた


存外トイレも完備してある辺り、やはり夜になると繁盛するのだろう


そうやって初めて体験する雰囲気と景観にワクワクとドキドキを刺激されながら進んでいた一同はある程度まで進んだところでふと違和感に気が付いた


「……あれ、そう言えば悠ちゃんがいないみたいだけど?」


「ありゃ?ホントだ、いないね?どこいったんだろ」


「此処まで一本道だったはずだから迷うことは無いと思うんだが……。トイレにでも行ったか?」


気が付いたら、本当にいつの間にか悠の姿が一同の前から姿を消していた

一体何時からいなくなっていたのかも分からない位にスッとまるで神隠しにでもあったかのように音も気配もなくいなくなると言うのは悠の性格的にもおかしなものだ


迷子になる要素もなく、消去法でトイレではなかろうかと結論づいた一同はその場から動かずに悠が戻ってくるのを一度待ってみることにしたところで


バキバキっと木材が折れる特有の音と重いものがぶつかり合う鈍い音が辺りに響き渡るのだった



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