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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
変化の先の日常
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仙台散策と最初の再会

席に着いた三人はとりあえずメニューを開く


内容はよくある喫茶店メニューでモーニングセットとランチが目玉で、そのほかに単品の品がそれなりの数ある


どうやらこのお店の一押しはホットサンドの様でメニューにも大きく表示されている

ホットサンドの具は数種類から選べるようになっていて定番のハムとチーズからボリューミーなベーコンとポテトの組み合わせ


変わり種では納豆とアボカドのホットサンドがある果たしてどのような味なのか想像もつかない


「へぇ、結構がっつり食べられそうだな」


「値段も学生でもなんとかなる金額だし良いねー」


「でしょー?私も結構来るんだ」


メニューを見ながらあれが良いこれが良いと決めあぐねていると少し派手に入店のベルが鳴り響く

ふわふわふりふりのガーリィな服装の彼女は見た目とは裏腹にぜぇぜぇと肩で息をしていて全力疾走をしてきたことが伺える


「桃ちゃん、別に急がなくても良かったんだよ?」


「い、いえ、突然とは、言え、約束の時間に、遅れるわけには……」


駅の駐輪場から走って来たと思われる息も絶え絶えの桃に苦笑いしながら悠は店員さんに目配せをして桃を店内に招き入れる


驚いた様子でこちらを見ていた店員さんも分かったようでニッコリといらっしゃいませー、と声を掛けて4つ分のお冷と氷水の入ったピッチャーを持ってきてくれた


「んぐっんぐっ、ぷはぁ」


出されたお冷をすぐに飲み干して一息ついた桃はぺこりと頭を下げて遅れてきたことを謝罪する

遅れて来たと言っても精々十分程度だ。その位で咎める程、此処にいるメンツは心の狭い人間ではない


「気にしないでー、元はと言えば私の寝落ちが原因だからさ。あ、朝ごはん食べた?ここのモーニングおススメだよ」


「あ、まだ食べてないんです。美味しいですよねここ、私も一度来たことがあるんですよ」


慌てるむしろ原因となった絵梨が申し訳なさそうに頭を掻いている

勿論桃がそれを叱責することはなく、話をこのカフェの話に変えて郁斗から手渡されたメニューを受けとった


「お二人は決まったんですか?」


「悩み中。俺は悠と一緒に選ぶからそっちのメニューは使っていいぞ」


「ホットサンドどれも美味しそうでさー」


二人掛けのテーブルに分かれて座っていたので二対二で自然と分かれ、案の定悠と同じテーブルに着いた郁斗はそう言って仲良く二人でメニューを覗き込む


二人揃ってイケメンと美少女、しかもお洒落度は同年代から頭一つ出たお洒落さは高校生とは思えない、少なくと大学生くらいの雰囲気を持っていて、桃は小さく嘆息した


「ん?どったの?」


「いや、二人とも凄いなぁって。私、子供っぽ過ぎたかな……」


そういう桃の服装はレモン色のワンピースにベージュのカーディガンだ

足元もペタンとしたヒールの無いフラットサンダルで全体的に淡い、女子らしい色使いをしている


腿の上に置いた青い鞄もフリルをあしらってあり可愛い系でまとまっている


「いやいや、あれはあの二人が規格外なんだって。桃ちゃん小柄だし、その方が可愛いよ?私なんて図体ばっかりデカくてそもそもサイズが無いから困ったもんだよ」


あっはっはと笑う絵梨はそうやって桃の気を逸らすとメニューを開いて二人で選び出す

こちらはきた経験がある二人だからこそ、これが美味しかった、あれが美味しかったという話で盛り上がった


「すみませーん」


たっぷり十分近くお喋りしながら注文を決めた四人はようやく店員さんを呼んでちょっと遅めの朝食を摂るのであった

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