表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
変化の先の日常
41/206

仙台散策と最初の再会

そうして悠は促されるまま郁斗の自転車の荷台に横乗りし、郁斗の腰に手を回す


「しばらくは感触を楽しませてやる」


「ありがたき幸せ」


そうするとどうしても胸が郁斗の背中に当たってしまうのだが今回悠は後ろに乗って運んでもらう身。これくらいの役得はあげてやってもいいだろうと冗談を飛ばしながら笑いあうと


「それじゃあ、しっかり掴まってろよ」


そう言って地面を蹴ってペダルをこぎ出す。たなびく髪が夏空の下でキラキラと輝いていた





駅前の駐輪場に自転車を置き、集合場所の駅ビルの前に向かうと既に絵梨は来ていたようで退屈そうに携帯を弄っていた


「おーい、絵梨―」


「あ、悠―!!おはよー!!」


少し遠くから声を掛けると気付いたようで嬉しそうにピョンピョンと跳ねながら挨拶を交わす

彼女の大きな体格も相まってかなり目立つのはご愛敬だ


絵梨の服装はその長身を活かしたパンツルックで細身の花柄の七分丈パンツにゆったりとした白のサマーニットセーターというシンプルな服装ながら長身長故の存在感でまるでモデルのような強いインパクトがあった


「いやー、今朝はゴメンね。昨日の夜の内に連絡するつもりだったんだけどチャット打ってる途中で寝落ちしちゃってさー」


「なんだ、そういう事だったんだ。次からは気を付けてよ、結構慌てて準備したんだよ?」


「いやー、ホントごめんね。やっぱ突然だったから桃ちゃん遅れるらしいから近くのカフェでお茶しよう。間―、エスコトートしてー」


「俺、そのカフェの場所知らないんだけどな。道は教えてくれよ」


絵梨ならあり得そうだったその場で思いついての振り回し行動ではなかったことも判明したところで、流石に時間に間に合わなかったらしい桃は遅れてくるそうなので三人は近くにあると言うカフェに足を運ぶことにする


「女子が多いカフェだから男子は知らなかもねー。悠ちゃんは多分初めてでしょ?この辺」


「何回かは来たことあるけど細かいところは全然分からないかな。駅ビルくらいしか行ったことないし」


嘘は言ってない。野郎にとってこの駅前で遊ぶところと言ったら駅ビルのゲーセンと本屋くらいで、悠も郁斗もあとは駅前ときたらカラオケボックスとボーリングくらいしか知らない


隣の大きな街まで行けば歩いているだけでも楽しいのだが、今日はどちらに絵梨は行くつもりなのだろうかとふと悠は思った


「あ、今日はこっちじゃなくて隣町まで行くよ。遊ぶならやっぱあっちでしょ」


「だろうな。電車で30分も揺られてれば着く訳だし」


その答えはすぐに絵梨の口から答えられ、郁斗もだろうなと同調する

笠山駅は地方の駅としてはそこそこ大きいのだが如何せん隣の地方政令都市指定された街に比べると大きく見劣りしてしまう


悠が目覚めた翌日に行ったアウトレットもその隣町にある施設である


「此処がそのカフェだよ。何でも美味しいから朝ごはん食べてなかったらここで済ませてもいいかもね」


「ちょうどいいや、私何も食べてないから」


「俺もだ。軽くつまませてもらうかな」


案内されたカフェの名前はilluminare(イッルミナーレ)。スペイン語で照らす、という意味の名前でその名の通り、日当たりの良い、それでいて木々の間でちょうどよく木陰を作り出されているこじゃれたカフェだった


からんからんと入店を知らせるベルが子気味の良い音を立てて店内に鳴り響く。まだ時刻は九時、周りに開いている店も少ないと言うのにすでに数人のお客がいる辺り、固定のお客さんを獲得している人気店のようだ


「いらっしゃいませ。3名様でしょうか?」


「あ、後から一人追加で」


「かしこまりました。お好きな席におかけになってください」


店員の若い女性がテンプレートな接客を熟し、三人は窓際の目立つ場所に腰掛けた



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ