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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
変化の先の日常
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高嶺流

約一週間の時間が流れ、七月第一週に期末テストが行われた


教科は現代文、古文、数Ⅱ、数学B、世界史、化学、物理(選択)、英語、家庭科、保健体育、情報の11教科

殆どの強化は言わずもがな、情報はパソコンについての基礎知識を学ぶ授業で情報過多な今のご時世、無駄な情報や間違った情報を身に付けたり広めたりしないようにしたりするための科目である


郁斗と桃は上々、悠はいつもよりちょっと点数が下がり大体平均、絵梨は殆どの強化で赤点ギリギリという結末となった

絵梨の凄惨さが目立つが本人曰くこれでマシな方だと言うのだから良く進学できたものである


「いやー、久々の追試なーし!!清々しく夏休みを満喫できるっ!!」


「赤点回避で威張んな。せめて平均はいけよ」


「かー、これだから優等生は!!良いですか!!学生の本業は遊びです!!勉学など二の舞なのです!!」


「いや、流石にその点数は危機感持った方が良いと思うよ……」


「私も、ちょっとその点数は……」


どどーんと胸を張って叫ぶ絵梨だが周囲の面々からは耳の痛い言葉をいただく

それすらどこ吹く風なのが絵梨なのだが


「さて!!どう?!この後ぱぁっとカラオケでも!!」


「あ、ゴメンこの後用事があるからちょっと」


「同じくパス」


「ゴメンね」


「ガーン!!」


学生からすれば地獄の一週間を乗り切り、点数の無事も確認できた絵梨は景気づけにカラオケをと悠たちを誘うが残念ながら揃いも揃って予定があり、全員に断られる始末


だとしても自分の口で「ガーン!!」と言っちゃう辺り絵梨らしいと言えばらしいところか


「むう、皆つれないなぁ。じゃあ週末はどう?みんなで集まって遊びに行こうよー」


「土日なら空いてるかな」


「それなら」


「良いですよ」


土日ならと全員が快諾すると絶対だよー!!とさっきの落ち込みようから一転してルンルン気分で絵梨は教室を飛び出して行く


切り替わりの激しい、もとい現金な子である


その様子に面くらってしばし呆然としていた三人は呆れた顔をしながら揃って帰路に着いた







帰宅した悠は制服を脱ぎ、手早く胴着に着替える。先日ようやく桜を説得して発注してもらった品で面や籠手も今の体形に合わせて新しく買ってもらった物だ


久々に着ける新品の道具に懐かしさを感じながら手慣れた手つきで着こむと面を脇に抱え、竹刀袋を持って隣接する道場へと足を運んだ


今日は金曜日、道場の定休日でいつもはこの時間は門下生の稽古の声と熱気が籠っているが今は一人もいない閑散とものだ


「よしっ」


気合いを入れて道場の中に入る。入る時に一礼は忘れない

中に入り、所定の場所に着くと早速練習を始めた。基礎から、確認するようにしっかりと熟していく


最初に行ったのは摺り足と呼ばれる剣道独特の脚運びである。悠は武道ではなく、武術を修めているので実際は摺り足を使うことは少ないのだが、身体のバランスや体幹を身を以て自覚するには良い判断材料になるだろうと思っての事だった


試しにいつもの感覚でスッと前に進んでみる。二、三歩目までは良かったが繰り返しやって行くうちに段々と重心が前にズレてつんのめりそうになる


「とっとと……。成る程、原因はお前か」


そこで何故重心がズレていたのか最大の原因を発見した

悠が凝視するのは己の胸。そう、男にはあるはずのない立派な胸が悠の重心と体幹を狂わせる最大の原因だった


これがAカップやBカップと言った平均より下ならばさして支障は無かったのだろう

しかし皮肉かな、悠は平均より一回り上のDカップである。しかもちょっと大きめの


大体D~Eの中間くらいだと判断される悠の胸の重さを具体的に表すとその重さ、約1kgに相当する

大体大きな梨位の重さなのだが、たかが1kgがどうしたんだと思うかもしれないがこれがバカに出来ないものなのだ



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