結成!!仲良し三人娘
「えっと、信じ難い話だとは思うんですけれど……」
「それを決めるのはこっちさ。さぁ、話しておくれ」
終始気圧され気味の悠は少々ビクつきながらも、この約二ヶ月で起こったとても信じられるようなものではない、しかし確かに自身の身に起きた出来事を話し始めた
元々は男だという事、突然襲って来た謎の男の事、その男に負け妙な薬を飲まされたこと、目が覚めたら女の子になっていたこと、そして女の子になってからの事を簡単に
時間にすると一時間だろうか
おばあさんの質問にも答えつつ語ったため予想以上に長くなってしまったがなんとか伝わるように悠は話した
「成る程ねぇ、高嶺のヤンチャ坊主の次男坊かい。中々躾がなっているじゃないか、嫁の方に似たんだねぇ」
「えっと、信じてくださるんですか……?」
特に疑う様子もないおばあさんに驚愕と疑惑の視線を向けるとキツイ目つきだったその目元がフッと柔らかくなった
「言っただろ、あたしゃ嘘が嫌いだってね。一緒にいた坊や以外には誰にも話していないんだろう?怖かっただろうに良く私に話してくれたね」
「え、いえ、その、おばあさんは何だか誰かに喋ったりしないと思ったので……」
破顔して喋り始めたおばあさんに悠は困惑しながら本心を語る。何だかこのおばあさんは他人に勝手に喋ってしまうような口の軽い人には見えなかった
「ははは、人を見る目は豪坊似だね。あのヤンチャ坊主は人を見る目と喧嘩の腕だけはあったからね。おっとそう言えばまだ自己紹介もしてなかったね、あたしゃ柏木 珠代。絵梨の遠縁の親戚だよ」
「あ、絵梨ちゃんのご親戚だったんですね。そう言えば背がお高いですもんね」
少々腰も曲がっていたのであまり気にもならなかったが背は女性としても、年にしてもかなり高めだ。170はありそうである
「背ばっか高くたって良いことなんてないよ。出来ればアンタみたいにコンパクトに、いやアンタもコンパクトって訳じゃなさそうだね」
「ど、どこを見て言ってるんですかっ」
胸とお尻を凝視されて悠は顔を真っ赤にして怒る
確かに平均より一回り上だがまだまだコンパクトに引き締まっているつもりである
「アハハハ、見た目と反応じゃ元男だとは思えないね。可愛いもんだよ」
「うううぅぅ……」
ケラケラ笑う珠代を恨めし気に睨み付けると珠代はまた可愛い可愛いと頭を撫でてくる
郁斗に度々撫でられているのでその感触には慣れたもの、むしろ心地いいものと感じている悠は目を細めてそれを甘受した
「ま、絵梨に悪影響がある訳じゃ無いようだから良かったよ。あの子の友達になってやっておくれ」
「はぁ……」
大人しく撫でられている悠にそう言うと手を離し、絵梨たちの下に行くように言ってくる
何だか言葉に影を感じた悠は曖昧な返事を返すが事情があるなら無闇に聞くことも憚られ、結局は残りのお茶を飲み切ってその場を去る
「あぁ、そうそう、多分絵梨は私と似て勘が鋭いからアンタが嘘ついてるのくらいはばれてると思うから注意しな」
「えっ」
最後に爆弾を残し、悠をギョッとさせると珠代おばさんは笑いながら空のティーセットを持って更に部屋の奥へと行ってしまう
何とも不安な気持ちを残されたまま悠は退室し、皆の下に向かう
「あの子の味方になっておくれ。臆病な私にはこれくらいしか出来ないんだ」
ティーカップをシンクに貯めた水に浸しながら呟かれたその言葉は当然、誰の耳にも届くことは無かった
近々引っ越すことになりまして中々小説を書く時間が取れていません
もしかしたら度々更新されない日があるかと思いますがどうかご容赦願います
あ、あと最近デイリーで閲覧を1000超えちゃう見た事もない事態が発生してびっくりしてます
連載を初めて約1カ月余りですが、ブックマークも3桁が見えて来てホントに驚いてます
みなさんありがとうございます




