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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
変化の先の日常
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結成!!仲良し三人娘

「なんか、スマンかった」


「いや、郁斗のせいじゃないよ。殆ど私が無自覚なせいだし、ゴメン」


時刻は20時。そろそろ夏至が近い六月半ば言えど既に太陽は沈み切り、辺りは夕闇に包まれている


お隣さん言えどこれ以上間家に悠を置いておくわけにもいかないため、お説教も程々に切り上げられると郁斗と悠の二人は半ば放り出されるような形で間家から出され、お向かいの短い道程を二人で歩いていた


「ま、ゆっくりでいいからそこら辺はしっかりしてくれ。言っても分からないお前に言い聞かせるこっちも、結構恥ずかしいんだ」


「うっ、ゴメン……」


言っても分からない、とは郁斗以外にも様々な人に指摘された悪癖で、悠もよく分かっているつもりなのだが、それはあくまでもつもり


生来の性格や癖と言うのは中々抜けるものではないため、今回の事については悠と郁斗の根気勝負になりそうだった


「んじゃ俺はここで。また明日な」


「うん、ありがとう。また明日」


お向かいさんの高嶺家に到着するのはほんの1分程度

別に送り迎えなんて必要のなさそうな距離だが、まぁ夜に女の子の一人歩きは何があるか分かったものではないので用心に越したことはないだろう


玄関先で軽く手を振って別れ、郁斗が自宅の戸を潜ったところまで見届けると、悠も自宅の玄関をガラガラを引き開け、中に入る


「ただい、ま~……」


玄関先で待っていたのは腕組をしながら待っていた桜だったことは容易に想像できることであろう









「え~、以上が1学期期末テストになります。皆さん、しっかりと勉強して夏休みに学校に来るようなことが無いように」


悠が転入という建前で笠山高校に戻って来てから約1週間。すでに6月も終わりに差し掛かり、梅雨の時期もそろそろ終わろうかと言うところで学生の敵、期末テストの時期がやって来た


日頃から真面目に勉強していれば特に問題は無いだろうが、遊び盛りの高校生に果たして心から真面目に授業を受けている生徒が何割いることやら


ただし、期末テストばかりはそうも言っていられない

此処で赤点を取ればせっかくの夏休みは先生と仲良く補習の毎日である


「あー、テストやだなー」


「そうも言ってられるかよ。流石にまともに家で勉強しようぜ」


「そうですよ。将来を決める大事なテストなんですから!」


「そうだぞー」



そんな大事なテストを前に悠は嫌だ嫌だと駄々を捏ねるが郁斗は呆れながら、桃はプリプリと頬を膨らませながら


そして聞き覚えのない間延びした声が悠の下にと抱き、机にもたれ掛かっていた悠の上から覆いかぶさるようにその人物はのしかかって来た


「絵梨ちゃん、重い……」


「重いとは失敬なー」


のしかかって来たのは悠たちのクラスメイトの一人、柏木(カシワギ) 絵梨(エリ)

特徴は何よりもその身長。郁斗が178と男子から見ても大きい背丈なのに彼女はそれに近い175cmという身長をそのに宿している


しかし性格は非常に温厚、と言うよりはのんびり屋

普段は窓際の席でボーっとしていることが多く声を掛けてもしばらく反応しないことも多い


端的に言い表すと背高のっぽの不思議ちゃん。それが彼女、柏木 絵梨の総評であった


それが何故か先日から妙に悠に懐いているのである

今は微妙に160cmに届かない159cmという女子高生の平均的な身長とは言え、絵梨との身長差は実に16cm


普通に見上げる程の大きさで悠は大型犬にじゃれつかれているような気分だった


「柏木、どけてやれ」


「ぶー、間だけ悠独占しててズルい」


「独占してねぇよ」


ぶーぶーと文句を垂れる絵梨に郁斗はため息を吐きつつ、襟首を引っ張り上げて引き剥がす。その時カエルがつぶれたような、女子が出してはいけない声が聞こえたような気がするがガン無視である


「ありがとう」


「気にすんな、アホを引っぺがしただけだ」


「アホとはしっけいなー」


意外と良く喋る不思議ちゃん、絵梨を交えて悠たちの日常は更に騒がしさを増していくことになる

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