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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
変化の先の日常
30/206

一か月の成果

「で、二人って付き合ってんの?」


「「付き合ってない!!」」


食卓に着いて、いただきますの挨拶をして早々育代はぶち込んできた

やはり、郁香が喋ったようでその表情は喜々としている


「え、だって兄貴ベッドで押し倒してたし」


「郁斗、後で父さんの部屋に来なさい」


「誤解だ。すべては悠が原因」


「ちょっと!!」


ぎゃあぎゃあと一気に騒ぎだす間家食卓は普段も騒がしいがそれ以上で下手をすれば近所迷惑になるのではなかろうかと言うほど


確かに悠が原因なのだが、一人に責任を押し付ける郁斗に噛み付く悠とそれを見て何故かゲラゲラ笑っている郁香、二人の様子を見て微笑ましそうな郁代、そして黙々とカレーライスを食べ続ける郁斗父、カオスである


「要約すると、悠ちゃんが誘惑して郁斗がそれにノッて押し倒したと」


「「違うから」」


そうじゃねぇと悠と郁斗は再び口を揃える

本人たちからすれば、特に郁斗からすればガードが緩いことに対して実体験を以て分からせようとしただけである、それ以上の意図はなく、その先をするつもりなど毛頭ない


確かに眼福ではあるのだが


「こいつは一度痛い目見ないと分からない悪癖があるのはお袋も知ってるだろ。今回もそれだって」


「だからってやり過ぎだって!!校長室でもおでこに――。あっ」


「ほう、詳しい話を聞こうか」


「待て、親父これもさっきの言ったこととほぼ同じ内容だ。こいつが分かってないから実体験で分からせてやるだけなんだ。俺だって結構精神すり減らしてるんだよ」


「言い訳は後で聞こう」


「慈悲はないのか」


ついボロをこぼしてしまった悠に郁斗以外の全員が目を輝かせる

特に意外と郁斗の父の眼光は鋭い。郁斗の父も中々のナイスガイでちょっと目元に皺が出始めた中年男性なのだが中年太りとは程遠く、引き締まった肉体をしていいる


長身で細身、顎のちょび髭がダンディーさを引き出している近所の若い子の間でも話題のおじ様、であるがこれで身持ちは堅く、奥さんの育代一筋


故に彼は男女関係と言うものに結構厳しい考えがある


「まぁ、先に夕飯を食べようか。せっかくのカレーも冷めてしまう」


「……うっす」


「ドンマイ郁斗」


お説教が確定した郁斗は項垂れる横で原因は軽い調子で肩を叩く、実害が無いからと言って陽気なものだ


「悠ちゃんは後で桜さんに連絡しておくよ」


「……はい」


こっちも退路は無かった


こちらも項垂れ、渋々カレーのスプーンをようやくルーの中に入れる

間家のカレーはとても辛い。辛いのが好きな悠と郁斗はこれを辛い辛い言いながらかき込むのである


隣の郁斗もはふはふ言いながらカレーをガツガツと口に突っ込んでいく。いつも通り悠も口に運んだところで


「――――――っ!!?!??!?!」


口から、火を吹いた

辛いとかじゃない、痛い。それも尋常じゃなく


慌てて水を口に入れるがその水で辛さが逆に広がる。完全に逆効果、辛い、痛い、あわあわと真っ赤になった口を押えながら悠は悶える


「あら?今日はそこまで辛く作ってないのだけれど……」


「もしかして味覚変わってるんじゃない?辛いのダメになったとか」


「あー、確かにこいつ最近甘いもの好んで食ってる気がする」


悶える人がいる横で間家は素知らぬ顔でなんで悠が悶えているのかを考察し始める

テーブルをバンバン叩き始めているがスルーである


「はい、冷たい水」


「はひ、あひがほうごひゃいます……」


辛さでしたがビリビリと痺れて呂律が回らない中、郁斗の父だけが悠の様子を案じて良く冷えた水を差しだしてくれるのであった


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