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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
変化の先の日常
23/206

一か月の成果

翌日、二人はいつも通りに二人で登校しクラスに到着するや否やすぐさま女子達に囲まれた


「やっぱ付き合ってるんだよね!!」


「昨日のイチャイチャぶりで付き合ってないとかちょっと信用できないよ~」


囲んできたのはクラスの中でもとりわけ恋バナが大好きな部類の女子達だ

根掘り葉掘りどういう経緯で付き合っただとか、出会いは何処だとかそれは凄まじい勢いで質問が飛んで来る


「げっ、なんでもう知ってんだ」


「皆情報早くない……?」


失態をやらかしたとは言え、昨日の今日でクラス中に広まっているとは微塵にも思っていなかった二人はしどろもどろになりながら質問の嵐を受けるしかない


遠巻きに見ているその他の女子や男子達もニヤニヤと笑っていたり、ヒューヒューと囃し立てている者達ばかりだ


「そりゃあ転校早々学校屈指の美少女に名を上げた少女が既に同じく学校屈指のイケメンと付き合っているとなったら噂の規模もそれなりってやつさ」


教室の入り口でしばらくぎゃあぎゃあと騒いでいると凛としたそれでいて艶も感じられる女性の声が教室に響く


「ま、牧野先生」


「よう高嶺、転校早々イチャつくとは私も思っていなかったぞ」


「先生、誤解です」


男勝りな口調のこの女性は悠たちの担任教諭、牧野(マキノ) (カオル)先生だ

茶色のミディアムヘアを後頭部で緩く纏め上げただけのラフな髪型にストレッチパンツと適当なシャツと言うラフ極まりない服装にフチなし眼鏡の特徴的な人気者


ラフな服装はもとより人気の理由はその距離感。上から物言うのではなく、精々年上のお姉さんか親戚の姉位の微妙な距離感からの軽い口調のトークは軽快でジョークも交じるようなものが多い


去年の体育祭ではクラスに冷えた飲み物とアイスをポケットマネーから出すという気前の良さ、相談にも気軽に乗ってくれるのも学年問わず生徒たちから人気だった


担当教科は社会科全般、クラスや学年によって教えている教科は違うようだが、どれも好評な若き敏腕教師でもある


「おらー、お前ら席付け―。HRの時間にはとっくになってんぞー」


彼女が現れ、一声かけるとクラスメイト達は蜘蛛の子を散らすように自分の席へ戻っていく

悠たちも自分の席へ向かおうとすると牧野は悠の耳元に近づき


「後で話がある。放課後、間と一緒に校長室来い」


「あ、ひゃい?!」


そう小声で呟いて悠のお尻をむんずと掴んだ

思わずその場で悠は飛び上がり、お尻を手で隠して牧野を涙目で睨みつけた


郁斗も冷たい視線を牧野に向けているが当の本人は笑うだけで二人の間をすり抜けていき、教卓の前まで歩いて行った


「おら、そこの夫婦もさっさと席に着かねぇと欠席にすんぞ」


「「誰が夫婦だ!!」」


息の合った言い返しにクラスはまた囃し立て、結果として悠は建前上転校生でありながら二日目で高嶺 悠と間 郁斗はカップルと言うことを外堀から埋められたのであった


半分以上自業自得ではあるが、あんまりな現状に二人は揃って項垂れたのは言うまでもない




「災難でしたね」


「そう思うなら桃ちゃんフォローちょうだい」


「無理です」


「えらくキッパリだな……」


HRが終わり、1限目は移動教室で化学室に向かうことになっている

悠、郁斗、桃の三人で並んでさっさと移動を開始する。教室ではまだ準備をしていたり、ノートが無いだの、教科書忘れただのの声が聞こえて来ていた


さっさと用意を済ませて教室を出た三人は特に忘れ物もなく、先ほど夫婦と呼ばれた件についてどうにかならないかという話になっていた


「正直、無理だと思います」


噂を覆すのは無理、そう桃は言い切る

何せ現時点でも常に二人で行動、距離感が近いってだけで既に見た目は完全にカップルである


本人たちがいくら否定しても恥ずかしがっているだけ程度にしか受け取ってもらえないだろう

二人は何度目かのため息を吐いて、今日の授業を熟していった

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