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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
変化の先の日常
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一か月の成果

「あー、違う違う。こいつとは幼馴染っつったろ?だからお互い異性って認識が薄くてよ。ついついあぁいう風にじゃれちまうんだよな。特に悠は悪戯好きでな、変な勘ぐりされたくなけりゃ止めとけって言ってるんだが、結果は御覧の通りさ」


「あー、悠さん、見た目とっても大人しそうなのに、結構、アグレッシブですもんね。なんか、お二人がどういう関係なのか、わかりました」


自分のやったことで見事な自爆をかました悠を見て、二人は苦笑いをしながら語らう

桃もカップル、と言う関係ではなく仲の良すぎる気心の知れた男女、もしくは兄妹のような関係だと結論付けて納得した


「お兄ちゃん的には、大変、ですか?」


「くっくっくっ、そうだな、見た目の割にはお転婆な妹には困ってるよ」


この後、悠に脛に3発ほど蹴りをいただいた郁斗だが、真っ赤になって恥ずかしがる見た目美少女の親友の姿を拝めたので眼福くらいで済ませておいた


勿論、本人に言ったら次は拳が飛んで来そうなので何も言ってないが




「では、私はこっち、なので」


「おう、明日もよろしく」


「さっきのことは誰にも言わないでよ!!」


分かりましたと笑いながら答えた桃は悠たちとは別の方向へ歩を進める

中学が一緒だったのでそんなに家は離れていないと思うが、この様子だと思っているより近そうだった


「うー、酷い目に合った」


「自業自得だろ」


ガックリと項垂れる悠にクスクスと笑いながら郁斗は頭をぐしぐしと撫で回す

そういうところも周囲からイチャついているようにしか見えないのだが、二人には変わらず自覚がない


感覚が親友のそれのままで、体格が小さくなった悠に対して郁斗は愛玩動物でも愛でている感覚は若干ある位である

後はあくまで女性なのでそれらしく扱うように自分からも桜からも口を酸っぱくして言われているのもある


「ちょっと、髪がぐしゃぐしゃになるでしょー!!」


頭を撫で回されている悠は手を払いのけて手櫛で乱れた髪の毛を整える

この一か月で悠の仕草がかなり女子っぽくなったのも二人がカップルに見えてしまう要因の一つ


一体何をさせたのか、たったの一か月でまだ粗さはある物の悠の15年間の男っぽさは抜けて少女然とした仕草が前面に押し出されているのだから謎である


「お前、かなり女子っぽくなったけど一体どんな特訓したのさ」


「日々の生活を監視されて注意を受けるたびに小遣いと飯減らされてみなよ、嫌でも意識してやるよ。意識して生活すれば、それがその内無意識になる。習慣化と一緒だね」


始めたばかりの頃は晩御飯しか出なかったよ、と悠が遠い目をして言うのを見て納得した


確かに桜はやると言ったらとことんスパルタにやる人で、健康に良くないのは承知の上で悠に厳しく指導したものと考える


と言うより、こんな短期間でここまで鍛え上げるにはそれくらいやらないと出来ないだろう

悠の適応力の高さも認めるが、桜の指導力の高さも伺える話だった


「おかげで今月どころか来月までお小遣いは赤字……」


「どんまい、なんかあった時は奢ってやるよ」


「その時はよろしく」


ついでにお財布事情も氷河期を迎えているようで、あまりにも可哀想になった郁斗は代わりに助け舟を出してやることにする

恐らく、父親の豪も兄の新一も母に協力しているはずである。武道一家である高嶺家は規律に厳しいのだ


落ち込む悠を励ましながら帰路を進んだ二人はお向かいさんの互いの家に到着、軽く別れを告げて無事帰宅したのだった

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