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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
秋めく日々は初恋の季節
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夏休みが明けまして

恋愛禁止等の厳格な家でもないのに、そんなプラトニックな関係の恋愛など、今時の彼氏持ちor彼氏募集中な女子高生にはあり得無いのだ。精々、高校生の内にヤっちゃうか、ヤらないかくらいの貞操観念である


と言うのは流石に言い過ぎだが、早い子では中学生には致してしまう子がいるのも事実


女子とはかくにも早熟な子が多いのだ


「で?改めて聞くけど、何でキスしないの?」


「うっ、うーんっと、その……」


答えに困窮する悠に、絵梨や桃も、ここまで来ると中々別の援護射撃も難しい。完全に悠がロックオンされてしまっている

悠から、何か聞き出せない限り、注意を逸らすのは難しいだろう


そうして悩みに悩む悠の脳内にもわもわもわぁ~っと郁斗の顔がドアップで浮かび上がって来る


場所は郁斗の部屋だ。いつも通り二人で暇を潰していたのだろうが、なにやら雰囲気がおかしい

悠が、ベットの横面を背もたれして座り込み、立ち膝状態の郁斗とは鼻先が触れ合いそうな距離だ


そのまま、お互いなんの言葉も発さないまま、無言でその距離が縮まって行き……


「っっっ~~~~~~っ?!?!」


ボンっと悠の顔が、それどころか首筋から耳の先まで真っ赤に染まり、本人から悲鳴にならない悲鳴が上がる


周りにいた面々は何事かと、目を白黒させるが


「だ、だって、恥ずかしい……」


口元を、指先で隠しながら真っ赤な顔で伏し目がちにちょっと涙を滲ませながら言う悠に、数名の女子が鼻血を吹いた


「ごふっ……?!な、なんという破壊力……!!」


「なんて乙女パワーなの!!確かにこんな表情されたら、手を出そうにも出せない……!!」


「こんな表情だから美味しんじゃない!!はっ?!さては間君は隠れヘタレ……?!」


「「「それだぁッ!!!!」」」


何やら郁斗が与り知らぬところで不名誉な称号を賜っているが、生憎当の本人は本人で嘘でも本当でもない事を言いながら、周囲にいる男子達を軽くあしらっている


まぁ、知らぬが仏と言うやつだろう。誰も自分がヘタレ呼ばわりされている事なんて知りたくはない


「えー、じゃあ悠が間にキスできないなら、私が貰っちゃおうかな~」


そんな中、絵梨が更なる爆弾を投下し、現場は更なる白熱を見せる

まさかの悠の無二の友人からの宣戦布告とも取れる発現、盛り上がらない訳がない


「え、絵梨ちゃん?!」


「こ、ここで略奪愛宣言?!」


「ハートが強すぎない?!えっ、てか絵梨、間君好きなの?!」


更なる爆薬の投下により、更に白熱する恋バナは鼻息荒くするクラスメイト女子達が爛々と目を輝かせながら、次の絵梨の発言を待つ


「んー、嫌いではないかな。キスくらいなら全然良いかなーって」


「「「おぉぉぉぉぉ!!!!」」」


不敵に笑う絵梨に、盛り上がるクラスメイト。あわあわとする桃と、まさに混沌の極みである


「ね?悠、私がもらちゃっても――」


「だ、ダメッ!!!!ぜっっっったいダメええぇぇぇぇぇぇっ!!!!」


挑戦的に悠に問いかけた絵梨だったが、被せるように机をバンッ!!と叩いて、今までに無いような大絶叫で、絵梨の提案を却下した悠は興奮で肩を揺らし、大きく息をしながらキュッと目をつぶって再び大絶叫


「郁斗とキスするのは私なんだからぁっ!!!!」


瞬間、教室の時間が止まった


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