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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
秋めく日々は初恋の季節
185/206

夏休みが明けまして

絵梨の大声を皮切りに話を聞きつけた飢えた女子達がワラワラと集まって来る


果てには担任の牧ちゃんまでやって来た。女性は幾つになっても恋バナが大好きなのだ


「えっ、何々いいんちょカレシいんの?」


「写メ見せて写メ!!ほら早く―」


「何処まで行ったの?ヤッた?」


「個人的には委員長の彼氏より悠の進展の方が気になりまーす」


「あ、確かにー」


「キスは余裕っしょ」


わらわらと集まって来たと思ったらあっという間に収拾のつかない事態になり、もはや誰が何を喋っているのか全く分からない。挙句の果てには委員長だけではなく、悠まで標的にされ、場は混沌となっていた


男性陣はそれを遠巻きに聞きながら、誰がフリーなのか、自分の想い人に彼氏はいないのかを聞き出すのに必死っだったりする。


「郁斗、お前高嶺さんと何処まで行ったんだよ」


「別にどうもこうもねぇよ」


「うそつけー。夏休み絶対何かあっただろ」


「……プールには行ったな」


「ってことは高嶺さんの生水着かよ?!えっ、ビキニ?」


「俺が選んだ水着着てもらった」


「お前絶対許さんからな」


「ふっ、許されないような事をした覚えがないな」


「鼻で笑うのも一々カッコよくてマジでムカついて来た」


訂正、こっちはこっちでカオスだった


郁斗がイケメンの余裕を見せつけながら、周囲に集まって来ている男子達を嫉妬と怨嗟の海に蹴落としながら、足を組んでふんぞり返る悪の大王と化している


一方、女子陣は女子陣で恋バナが更に白熱していた


「年下彼氏、だと……っ?!」


「いいんちょ、ショタコン?病院紹介しようか???」


「高橋、先生も流石に中一の男子を彼氏にするのは犯罪臭がするなって」


「何でですか?!年の差3歳ですよ!!そんなの大人になったら当たり前じゃないですか!!今の時期に将来有望そうな子に唾つけただけです!!逆光源氏計画ですよ!!」


「委員長、ゲスイよ」


委員長は性癖を開拓されていた。よもやクラス1の真面目ちゃんにショタコン疑惑浮上ともなればクラスメイトからの評価は真面目でスゲー奴から、真面目だけど中身はヤベー奴に華麗なジョブチェンジである


強く生きろ、委員長。ただ、逆光源氏計画はちょっとどうかと思うが


「んでんでー?キスくらいは進展したんでしょ~?」


「ほら、ゲロっちゃいなよ」


「いやっ、そのっ、何と言いますか……!!」


その横では悠が尋問を受けている。主に郁斗と夏休み中に何があったのかが主な聴取内容で、何人かのニヤ付いた表情の女子達に囲まれて、悠はたじたじである


そもそも、悠と郁斗は付き合ってすらいない。そう見せかけているだけなので進展も何もないのが当たり前なのだ

だから、こうして恋バナの餌食になると、少々扱いに困ってしまう


「まさかー?キスもしてないってことは無いでしょ?」


「まさかのキスもしてないような関係だよ。まだまだプラトニックな関係って奴。ねー?悠」


「そ、そうだよ!!」


見兼ねた絵梨が援護射撃をして場を回転させるが、その内容に周りを囲んでいた女子達はえ~っと驚きと落胆の声を上げる


何せ濃厚なイチャラブが聞けると思ったら、キスもまだなお子様恋愛だったのである。いや、プラトニックな恋愛がお子様だとは言えないのだが、少なくともこういう恋バナで求められるのはリアルで、濃厚なあまーい話である


それが本人からは聞けそうに無いことへの驚きと落胆な訳だ


「え、でも何でキスしてないの?付き合ってるんでしょ?」


「今時、手を繋ぐだけってのも普通じゃないよね?えっ、親がNG出してるとか?」


「あー、悠の実家って道場だもんね」


「あり得る~。両親に恋愛禁止出てたりとか?」


で、そこのところどうなの?とそれはそれで突っ込んだ内容の話に盛り上がり、別にウチはそういう家じゃないよ、と返すと、女子達はまた、え~っと声を上げるのだった


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