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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
秋めく日々は初恋の季節
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夏休みが明けまして

そんな、と桃は怒りに声を震わせるが、内容が内容だけにあまり大声で話せる内容でもない

それに、騒いだところで解決する話でもない。幸い、絵梨の引き取り手として第一候補は今面倒を見ている香になりそうだと言うから、その人となりを見ている桃はその怒りの矛を一旦収めた


「そんな暗い話よりさ、もっと楽しい話をしようよ。2学期は文化祭あるしさ、色々遊ぼ」


「……うん、そうだね。皆で一緒に遊ぼ」


重苦しい話を振り払うように、絵梨はとびっきり笑いながら桃に今後の遊びの予定や、文化祭について話をしようと提案する


ここ、笠山高校は11月頭辺りに三年に一度、校外の人も招いて大々的な公開文化祭を行う。それ以外の年の文化祭はクラス発表だけの寂しいものだが、今年は公開文化祭の年


出店やクラス、部活ごとの出し物が解禁され、これぞ文化祭と言った様相で学校関係者や、チケットを購入した学校外の人が訪れるのだ


「文化祭かぁ。こういう時ってやっぱり代表は食べ物系の出店なのかな」


「それは運動部がよくやるから、それだけで枠が埋まっちゃうみたいだよ?クラスの出し物なら、お化け屋敷とか、カフェとかじゃない?」


「定番ですよね」


ああでもないこうでもないと、まだ文化祭は二ヶ月以上先の話だ。10月ころから準備が出来るらしいが、それでもまだ一か月以上も先の話を勝手に話している


とは言え、そうやって楽しみな事を今の内から想像を膨らませておくのは悪いことではないだろう


「あら、文化祭にはまだ気が早いんじゃない?まだ夏よ?」


「あ、いいんちょひさしぶりー」


そんな三人に前の席に座っていた女子生徒がクルリとこちらを向いて、話しかけて来る


彼女の名前は高橋(タカハシ) (ノゾミ)。このクラスのルーム長であだ名は委員長。そのあだ名通り、顎のラインで揃えられたショートカットと、アンダーフレームの眼鏡。少々大人びたキリリとした顔立ちは如何にもデキる女という印象だ


実際、勉強は学年でもトップを争う学力。因みに、郁斗もその学力トップ争いに参加している。あいつに出来ないことは無いのだろうか


「でも、今から楽しみじゃないですか文化祭」


「そうね、私も楽しみよ。出し物をを決める時は皆にしっかり提案してもらわないとね」


「委員長は何か提案しないの?」


ワクワクと今から楽しみに表情を緩ませる桃を見て、委員長は委員長らしい発言をする

ただ、それは自分からは提案しない、という主張のようにも思えた悠が、委員長自身は何か提案しないのかと聞いてみると


「私は生真面目なものしか思いつかないから。皆には提案をしてもらって、私がマネジメントするのが、きっと上手く行くと思うのよ」


何ともまぁ、委員長のあだ名に恥じない如何にもな回答が返って来た

確かに生真面目な彼女が提案する企画は、この辺りの歴史をまとめた発表みたいな、如何にも優等生な内容になってしまいそうだが、彼女だって確かに女子高生なのだ、何か華やかな提案の一つくらいは出来るだろうと絵梨が口を開くと


「相変わらず真面目だなー。今からそんな真面目でどうするの?彼氏できないよ?」


「あら、私、彼氏いるわよ?」


「うそぉ?!」


予想しない事実が発覚し、思わず絵梨が大声を上げる。他の二人も目を丸くして驚いていると、委員長はくすくすと笑いながら、そんなに意外?ちょっと傷付いちゃうわと冗談めかしく笑うのだ


いつもの三人娘が、悠がおっとりお姫様系(中身はゴリゴリの体力バカ)。絵梨が元気はつらつな元気娘系(最初の印象だったのほほんとした不思議ちゃん系は既に面影が無い)。桃の庇護可愛い系(唯一ブレない安心感)と、顔も性格もそんなにきつくないのに色恋の話はほぼ出てこない


因みに大体郁斗ガードのせいであるのだが、それを差し置いて、綺麗系の委員長によもや彼氏がいるとは、度肝を抜かれる真実であった


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