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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
変化の先の日常
18/206

一か月の成果

「何があったのかは覚えてないんだけど、高嶺君と一緒に倒れてたって聞いたの。その、大丈夫なのかなって」


「ありがと、あいつは大丈夫よ。こっちから伝えておくわ」


きっと自分だけ助かった罪悪感でいっぱいだったのだろう、優しくそう言うと桃はホッと息を吐いた


悠は桃と中学から同じ学校に通っていることは知っているが、クラスメイトになったのは今年が初めて、どういった子なのかはいまいち知らないが皆のマスコット扱いになっているのを見るに良い子なのだろう


「まぁ、暗い話は置いておいて、これからよろしくね」


「あ、はい、よろしくお願いします」


ある程度仲良くっても損はないだろう、女子とも少なからず接点を持っていた方が不自然さは消える


それに純粋に良い子だ、女子として初めての友人として悠は是非桃と友人になりたかった


差し出した右手は快く握手に応じてもらい、しっかりと握手する


「桃ちゃん手ちっちゃいね~」


「うぇ?!高嶺さん、くすぐったいですよ……」


握った掌の中にある桃の手はとても小さく柔らかいし温かい、ついついもにゅもにゅと手を揉んでしまう

そうしているとむず痒そうに身体を捩らせると悠はごめんごめんと手を離した


「珍しく女っぽいな」


「なんか言った?」


横でその様子を見ていた郁斗が何か余計なことが言ったようなので一睨みするとハイハイと掌をヒラヒラとさせてあしらわれた

後でジュースでも奢らせよう等と頭の中で思いつつ、桃に向き直す


「高嶺さん、間君と仲がいいんだね」


(ハルカ)で良いよ、高嶺っていうと(ユウ)と被りそうだし。それと郁斗とは幼馴染なんだよ」


何度となく聞かれている質問にサラッと返す

此処でチャイムが鳴り、昼休みの終了が告げられる。次の時間は確か日本史だったはずだ


「あ、お昼終わりだね。じゃまたあとで」


「うん、後でね」


日本史の担当教諭は時間にうるさいことで有名だ。始業のチャイムと同時に授業が始まらないとクラス全員をまとめてくどくどとお説教を始める

授業自体は無難に熟す先生なのだがこれがあるため生徒からは著しく不人気だ


下らないことで怒られたくもないので二人は早々に分かれ、悠は机の中から教材を、桃は自分の席に戻って同じく教材を広げて準備を始める


「起立、礼」


「「「よろしくお願いします」」」


「はい、では教科書の37ページを開いてください。今日は――」


チャイムが鳴ったと同時に教室に入って来た教師が壇上に立ち、委員長が号令をかけてから授業が始まる

途中でうたた寝をした悠が転校早々に指名されるという小笑いを起こしたりしたくらいで特に語ることもなく、午後の授業も消化されて行った






「高嶺さん髪綺麗だよねー」


「元々は何処住みだったの?」


「間君と超仲いいけどもしかして付き合ってたりするの?」


「おっぱいおっきい!!羨ましい!!」


放課後、HRが終わった後に悠は女子生徒に一斉に囲まれた

どうやら最初から放課後に質問攻めにするつもりだったようでもう矢継ぎ早に質問が飛んで来る


既にキャパシティを超えた質問量に悠はもうあたふたとしているだけで全く以て対処出来ていない

サポートに徹する郁斗もこればかりはどうしようも出来ない。女子の群れに男子単身で突撃する勇気は無い


「郁斗!!助けて!!」


「無茶言うな」


「困ったら間君頼みとかますます怪しいぞー!!ほら全部吐いちゃいなよー」


「しかも名前呼びとは!!」


「幼馴染らしいけど怪しいよねー。間君律儀に待ってるっぽいし」


「ほらゲロッちゃいなよー」


どうしようもなくなって郁斗に助けを求めてみたら逆に油を注ぐ始末、完全に女子の恋バナのターゲットにされている

転校生言えども、いや転校生なのにクラスのイケメン男子と仲睦まじげでしかも当の本人も美少女と来ている


もう女子たちにとっては美男美女カップルなのではと想像を掻き立てる良い材料でしかなかった


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