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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
気付き始めた心と身体
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修行、邂逅、三度

その注意を受けながらも、もぐもぐと食べ続ける絵梨は


「だってめっちゃお腹空いてるし、香さんの作るご飯美味しいし」


理由にもならない反論を返すが、照にその場で拳骨を落とされる

普通に強打の拳骨な為、悶える絵梨が抗議の視線を向けるが照は知らん顔だ


「礼節はしっかりせい。礼節のなってない者は優秀でも取り合ってもらえん。礼儀礼節を時と場合によって使い分けられる者が何処に行っても評価の対象となるのだからな」


「そうだよ。今はまだ学生だから許されるけど、最低限の礼儀作法は覚えておいた方が絵梨ちゃんの為だから、出来てない時は注意するからね」


「……はーい」


照に加え、香にも釘を刺されてしまい、絵梨は面白くなさそうにしながらもその言葉に従う

言われた通り、ガツガツとかき込む様な食べ方は止め、キチンとスプーンで掬って、お行儀よく食べている


とは言え、元々絵梨は親の管理下から殆ど放置されていた子供だ。礼儀作法を細かく指摘されたこと自体が恐らく少ないことを考えれば、仕方がないと言えばそうだった


「よしよし。それで、その女の子の嫌な感じって?」


「んー、小鳥たちの言う事なんで、イマイチ雑な感じなんですけどとにかく近付いたらヤバいって思ったらしいです。方角は笠山市内の端の、隣町との境目辺りの住宅街って言ってました」


「ふむ、魔物などがいる世界ならば、高位の魔物が人に化けた姿と言えるが、この世界は既に純血の幻想種は滅んだ世界。……となれば」


野生動物が避ける程の気配を放つ少女、ともなれば恐らく人外かそれに近い存在。絵梨のような存在がいることにはいるだろうが、彼女もベースは人間だ。野生の生き物が嫌う程の気配を周囲にバラまいている訳ではない


そうなれば、予想されるのは


「審判が絡んでる、そう判断しましょう」


世界を壊して回っていると言う秘密結社『審判』。とうとうその構成員と思われる者の尻尾が見えたのだ

これを逃す手は無い


「絵梨ちゃん、もっと具体的な女の子の特徴を皆に共有して。照、準備は?」


「抜かりない」


香が何時になく真剣な表情で絵梨と照に指示を飛ばす。慌てて絵梨がスマホを使って郁斗と悠にその情報を伝えるべく、画面のキーボードとにらめっこをを始め、照の方は既に準備は整っているらしく、指示を待つ


「明日から、この少女の捜索に当たります。審判の構成員だった場合、戦闘になる可能性が高い。絵梨達には少し早い実戦になりそうだけど、行ける?」


「は、ハイ!!」


「良い返事。詳細は明日の9時、皆が集まってから伝えるから二人にもそう伝えて。あと、今日は早めに寝るように」


「了解です!!」


まるで軍隊の上官と部下だが、実際師匠と弟子と言うのが適正な間柄でもあるので間違ってはいないのだろう


ビシッと敬礼までする絵梨に思わず笑いながら、香は一旦表情を緩める


「とは言え、それは明日から、今は美味しいご飯を食べましょう。おかわりは食べる?」


「おかわり!!」


「切り替えが早すぎやせんか……」


和やかに夕飯を食べ進めながら、各自明日への備えをして床に着く

いよいよ、初めての実戦の時が近づいて来ていた
















「集まったわね」


時刻はピッタリ9時。いつもの香達の家の中にある修練場の原っぱに5人は集合していた


「昨日、絵梨ちゃんが情報収集に当てていた小鳥たちから情報が入りました。野生動物が忌避するほどの気配から、恐らく人外クラスの生き物。友好的か否かは分かりませんが、この世界での幻想種の状況を鑑みると、恐らく審判の関係者の可能性が高いです」


集まった悠も郁斗も、修行する時と同じように動きやすい、かつ外に出ても不自然に思われない程度のスポーティーな服装とグリップの利く運動靴でやってきている

絵梨や照、香も似たようなコンセプトの佇まいだ


「確認されている相手は今のところ一人ですが、実際はどうだかわかりません。複数の方が高いでしょう。また、審判の関係者ではなくても戦闘になる可能性は十分にあります。遭遇した場合は、無理に刺激せず、連絡を取り合う様に」


香を中心に半円状になって、話を聞いている一同は今回の行動の概要と注意事項。今までの修行でも言われた事を改めて確認する


何せ悠達は恐らく初めての実戦のとなるのだ。確認に確認を重ねて、損は無い


「連絡は全員に渡したこの連絡用の魔道具で。私と照は単独、三人はチームになって行動してもらいます。決して、単独行動はしない様に」


そして、最後の確認を香はする


「最後に、まだ今なら引き返せます。それでも、この件に関わるという事で、良いですね」


「勿論です」


「やれることは全部やります!!」


「どうせ巻き込まれてますし、私!!」


郁斗、悠、絵梨の順にその確認に是と答える。その目には確かに覚悟が宿っていた

それを見て、香は深く頷くと大きく息を吸い込み


「では、近くまで転移します!!【転移(ジャンプ)】!!」


大声を張って魔法陣を展開。5人は笠山市の端、隣町との境目周辺の住宅地近くへと転移した


最近誤字報告と感想を沢山いただき、大変ありがたく、励みになります


今後とも気になる箇所の指摘や、キャラクター達への個別のコメントなど、気軽にどうぞ

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