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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
気付き始めた心と身体
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修行、邂逅、三度

とは言え、このトレーニングは既に悠の戦い方の戦術を大きく広げていた


魔力の球体を現在、二つ作ることが出来る悠。この魔力の球体の数=同時に行使することの出来る魔法の数、なのだ


同一の魔法を複数、もしくは違う魔法を同時に発動出来る。勿論のことだが、この数が多ければ多いほど、魔法使いとしての実力を表している一つの指針でもある訳で、悠の二つ、と言う数は正直少ない


それが何故、悠の戦術を広げているかと言うと、悠の扱う魔法の種類が重要なポイントであった

悠の魔法は分かっている通り普通の魔法ではない。魔法剣、と呼ばれる特殊な魔法だ


と言うよりは高嶺流が世界全体で見て、非常に稀有な技術形態をしている魔法であると言える


基本的に、魔法と呼ばれるのは術者の身体から離れて放たれ、遠距離でアドバンテージのあるもの

対して、高嶺流は術者、或いは術者の持つ武器に魔法を纏わせ、物理攻撃と共に魔法を叩きむのだ


「ムムムっ」


魔力球の3つ目が出来ずに唸っている悠も、先程の戦いで【真竹】と【柳】を同時に行使している

今まで【名付きの型】は一つずつしか使うことが出来なかったが、それらを同時に二つ行使出来るようになったのだ


とは言え、剣は一本なので組み合わせられる【名付きの型】は少ない。それでも戦術の幅が広がるのは良いことだ


「根を詰めすぎる出ない。無心でやるのじゃ、ムキになっても良いことは無いぞ」


「うううぅぅぅ」


照にダメ出しをされて、悔しそうに唸る悠。こと剣を用いたの戦いでは負けん気が強いため、反発心がマシマシになっているようだ


「負けん気の強さは強くなる秘訣だがな。儂から言うのも癪に障るだろうが、地べたを這いずってでも、強者からその強みを真似ろ、師事しろ、盗み取れ。個人の修練だけでは既にお主の伸びしろは限界に来ておる。その先へ至るためには、多少のプライドはかなぐり捨てるのじゃ」


「……分かりました」


照に指摘されたことは、現実としてそうだと悠も嫌でも理解している

あのまま道場で一人、修練をしても決して今のような著しい成長は無かっただろう


自分を圧倒する強さを持つ照に実戦を交えた、この修行は充実している


納得してしまえば、悠の切り替えは早い。スッと目つきと雰囲気が鋭くなったと思えば、無心で魔力操作に全神経を投げ打っている

元々、普段から自宅の道場で精神統一を目的とした瞑想の心得は叩き込まれている


ただ、ちょっとしたことで意固地になる悠の性格が、邪魔をしていただけなので、本人がその意固地を解けば、集中するのは早いし正確になる


「うむうむ、叩けば伸びる教え子は教える方も楽しいのぉ」


あっという間に二つの魔力球を作り、三つ目をものにしようとする悠にクツクツと笑いながら、照はその様子を眺める


魔力操作の修行は、そのまま3時間続いた






「今日はここまで!!お疲れさまでした!!」


「「「お疲れさまでした!!」」」


各自、座学と実習をそれぞれ熟し、この日の修行の日程を終える。この場所は常に青空が広がっているので、時間が分かりずらいが、外に出れば夕日で赤く染まっている頃合いの時間だ


「修行自体はまだ始まったばかりだけど、皆飲み込みが良くて教え甲斐があるわ。明日もじゃんじゃん鍛えるからそのつもりで」


スポンジのように知識や経験を吸収していく三人に、香も教え甲斐があるらしく、満足そうに胸を張って明日の修行を楽しみにしているようだ


「今日は、筋トレの方は……」


「絵梨は勿論この後フィジカルトレーニングね」


絵梨の方はこの後、個別に筋トレなどのフィジカルトレーニングが待っている。三人の中で一番体力が劣る以上は地道なトレーニングをするしかないため、こればっかりは仕方がない


悠も郁斗も、個人的に自宅で筋トレなどをしているのも、こうなった原因の一つなのだが


「うへー、しばらく筋肉痛かぁ」


「アハハ、頑張ってね」


うら若き女子高生らしからぬ言葉なのだが、本人たちにとっては今後死活問題となる話

サボる訳にも行かず、当人達の努力を応援するしかないのは全員が理解しているため、軽く声を掛け合いながら、今日は解散となった


作者、インフルの為、数日更新が滞るかもしれません

度々体調を崩して申し訳ないです


病気がちな身体が憎たらしい……

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