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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
プロローグ
15/206

どうしてこうなったのか

脱衣所での一騒動を終え、悠と郁斗の二人は二階の自室へと向かう

これから話し合うのは学校でどうするかだ


既に担任の牧野先生から校長には話は通っているらしく、どういう待遇で学校に戻ってくるかは悠たちに一任するとの事だった


「で、だ。お前どうすんだよ」


「あぁ、まぁ、信じてもらうのも難しいし、変なこと言って妙な注目集めんのも嫌だから黙ってるよ。そもそも戸籍の読み仮名変わってるらしくてさ、一応『高嶺(タカミネ) (ハルカ)』ってなるらしいからそっちで通そうかなって」


部屋にあるソファークッションに腰を下ろし、ミニテーブルと座布団に腰掛けていた郁斗にそう答える


今のところ無駄な波風を立てる気は毛頭ない。元々目立つのは嫌いであったし、説明するのも面倒

それならば適当に話を合わせた方が気楽に過ごせるだろう


幸い姿かたちはまるっきり変わっている。名前は読みが違うから親戚でたまたま名前が被った珍しいでしょ?くらいの笑い話に出来る筈、と悠は考えている


「そうか、お前がそう思ってるなら俺もそれに合わせる。だが、それをするならお前の口調とか仕草とか直しておいた方が良いぞ」


特に否定することもない郁斗だったがそれに関しての注文はあるようで悠はん?とぐでっと身体を預けていたソファークッションから身体を起こした


「なんか問題あるのかよ」


「まずその男言葉、顔に似合わなすぎ」


「うぐっ」


今の悠の顔立ちは間違えようがない女子だ、しかも美少女に分類される方の

桜に似た柔和な顔立ちに男言葉は全く似合っていない。これがキリッとした顔立ちなら姐御肌なクール女子として普段と変わらない口調で行けたのだろうが、ハッキリって悠の見た目の第一印象はおっとりまったりなお嬢様系


シャワーで念入りにお手入れされた黒髪のロングヘア―もそのイメージに一役買っていた


「それに仕草が男臭すぎる。見なかったことにしてたけど、クッションにもたれ掛かってのけぞった時に服めくれてへそどころかブラ見えてたぞ」


「うぐぐ……」


「姿勢と歩き方は良いんだけどな。とりあえずそこは直した方が良いと思うぜ」


武道をやってるおかげで歩き方ががに股になっていたり、背中が曲がっていたりとかは無かったのだがそれ以外の細々とした動作が男臭かった


元々男なのだから仕方がないのだが、これから(ハルカ)として生活するならばちょっとこれは致命的ではなかろうか、と言うのが郁斗の指摘だった


桜もこれに関しては分かっていたのだが、悠が今後どうするかをまだ決めていなかったのでそのあたりの所作はまだ口にする気は無かった

ただ身嗜みの整え方だけは早めに教えておかないと恥ずかしい目に合うだろうと考えて、先ほどのレクチャーだけは行っていた次第である


「やっぱ直さなきゃダメか?」


「ダメだな。ほぼ同姓同名で男口調で入れ替わり転校って扱いになるんだろ?絶対バレるだろ」


まだどういう設定で転校生と言う扱いにするかは決めていないが、流石に読みが違うだけのほぼ同姓同名で入って来た女子と転校した男子が同じ口調、しかも入れ替わりともなれば気付く奴は気付くし、ボロが出るどころの話ではない


もう半分本人だと言っているようなものだろう波風立てたくないのならあまりにそれは杜撰(ずさん)過ぎる


「ま、桜さんに頼むこったな」


「あぁ、地獄の特訓が目に見える……」


ケラケラと笑う郁斗と遠い目をして真っ白になっていく悠、対照的な様子の二人にそう言えばと郁斗の方が悠を見て話題を変える


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