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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
気付き始めた心と身体
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のろい

「まず、簡単に私が個人的に決めたものだけど、呪いのランクについて軽く説明するわ。呪いのランクは全部で6つに分けてるんだけど、これが一覧ね」


そう言ってディスプレイの表示を切り替えると、香が個人的にではあるが呪いの具体的な段階表が示される

上からS、A、B、C、D、Eの6段階。Sがもっとも危険で、Eが最も危険度が低い、という訳だ




―――――――――――――――――――

S

かけられた時点で即死。或いはその日の内に死亡させるなどする超強力な呪術。長い工程と複雑な術式、そして術者本人の命を生贄にして発動される場合が多い上に解呪出来ないことも多い


A

徐々に死に至らしめる強力な呪術。即効性は無いが永続性や継承性があり、場合によってはその地域全体を蝕む呪い。Sランクに比べて解呪の可能性があるが、高位の術者でないと難しい


B

長い時間をかけて蝕んて行く呪術。死に至らしめるまでが長いが、苦しめる期間が長く最も呪いらしいと言える。解呪には相応の術者である必要がある


C

死には至らないが、長い間苦しめられる程度の効力を持つ。病気と間違えられやすく、ある意味では一番厄介で呪いとしては最も適切な効果を発揮しているとも言える


D

断続的に痛みや苦痛を与える程度の低い呪い。死にも至らず、生活にも支障は出ないが、何らかのタイミングで発動する呪い。こちらも発見されずらい


E

殆ど影響のない呪い。少し不幸になったり、体調が少しだけ悪くなる程度。放っておいても大きな影響はなく、呪術に精通してなくても解呪出来る場合がある

―――――――――――――



記載された呪いのランクはこの通り。郁斗は下から2番目の生活にも大きく支障を来さない、低いランクの呪いがかけられているらしい


確かにDランクより上の呪いはその痛みや苦痛が永続的に続くらしく、郁斗のように突然痛みを発するものではない


普段の生活にもさして影響はなく、精々激しい運動を控えていたくらいだ


「俺に掛けられた呪いがそれほど強い呪いじゃないのは分かりました。具体的にどういう呪いなんですか?」


呪いの程度が分かったところで、内容はより具体的な、その効果や発動のタイミング、誰がかけたのか、と言う話になって来る

可能であればすぐに解呪するに越したことは無い。郁斗は真相に迫れるというはやる心を抑えきれずに、香に説明を促す


「効果は知っての通り、歩行が難しくなる程度の痛みが郁斗君の膝を中心に発生するという事。発動のタイミングは、『サッカーについて前向きに考えた時』よ」


「サッカーについて前向きに考えた時、ですか?」


説明された3人の内、絵梨はその発動条件に首を傾げる。なんとも釈然としない発動の条件、そんなことを発動条件にして一体どうしようというのか、と首を捻る絵梨に対して、悠はその条件に声を荒げた


「ちょっと待ってください!!じゃあ郁斗がサッカーに復帰したりしようとか考えた途端に呪いが発動して、膝が痛むってことですか?!」


「そうね、そうなるわ」


「そんな……っ!!そんなこと、何で郁斗が……」


悔しそうに拳を握りしめ、歯を食いしばる悠の様子を見て、絵梨もその条件と言うのが如何に残酷かを理解する


この呪いは、郁斗がサッカーの復帰や、練習の事を考えただけで発動する呪いなのだ。痛まなくなった、サッカーに復帰できると考えたりした瞬間に痛み、その希望をへし折る


仮にそういった気持ちを押し潜め、ピッチに立てたとしても、郁斗は笠山高校のエースストライカー。今まで勤めて来たポジションはFW。つまり点を取るためのポジション


チームを勝利に導くため、シュートを放とうとしたその瞬間、呪いが発動し、まともなシュートを打つことは難しいだろう


つまり、この呪いは郁斗のサッカー選手としての選手生命を叩き潰すためだけに掛けられた呪いなのだ



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