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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
気付き始めた心と身体
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のろい


「呪いって言うのは特殊でね。かける相手がいないと絶対に成功しないの」


「……それは、そうですね」


面倒だ面倒だと口にする香だが、一体に何が面倒なのか、素人である悠達にはイマイチ分かっていない


かける相手がいないと絶対に成功しない、と言うのは何となく分かる。呪いと言うは人や物にかけるものでその呪いの対象をこの辺りに呪いをかけたい、という大雑把なものでは上手く呪いの定着や発動が出来ないのだろう


「呪いはその対象を明確に定義しなきゃいけないわ。同時に魔法よりも綿密な準備が必要よ。所謂、儀式と呼ばれる発動形態ね」


「定番のコックリさんとかも儀式って聞いたことがあるけど……」


「そうね、あれは呪いじゃなくて降霊術と呼ばれるまた違う魔法なのだけれど。何らかの道具、土地、魔法陣などを組み合わせ、長い時間と労力を以てして魔法を完成させるのが儀式、という発動形態よ。呪いの殆どが、この儀式を用いて発動するわ。そして、呪いをかけるのに一番重要なのが触媒よ」


香曰く、この触媒こそが呪いをかける時の最大の難関であり、同時にこの触媒さえ達成してしまえば、呪いをかけるという行為自体は割と簡単に出来るものなのだと言う


「呪いで使う場合の触媒、と言うのはその呪いの対象者にまつわるモノよ。ド定番は体毛ね。比較的入手が簡単で、管理も楽な反面、量とかけられる呪いの規模が小さいのが欠点ね。出来るとしたら、明日の帰り道に足を滑らせて転ぶ、とかそういった些細な不幸レベルよ」


「量、というのは」


「そのままよ。呪いに必要な体毛の本数。さっき例に挙げた呪いをかけるのにざっくり30本の体毛が必要よ。しかも他人の体毛が混じった場合は失敗に終わるわ」


「それは、何と言うか、手がかかる割には効率の悪い方法ですね」


「そういう事。この程度なら執念でたどり着いたちょっとした悪戯で済むことが大半ね」


触媒を体毛と言う手軽なものにした場合は、この程度が限界らしい


確かにその程度なら呪いをかけた方も、かけられた方も果たしてそれが呪いの効果によってもたらされたモノなのか、判別がつかないだろう


ただし、問題は体毛以外の触媒が使われた場合だ


「体毛以外だと、どんなのがあるんですか?」


「次によく使われるのは体液よ。出来れば遺伝子情報やが内包されてる方が好ましいわ」


「という事は、血、ですか」


「その通り」


次に好んで使われるものは体液、特に血などの遺伝子情報が組み込まれたものが好ましいらしい


確かに、呪いらしいと言えば実に呪いらしい。入手こそ困難を極めるだろうが、体毛よりも効果は高そうだと、悠達三人は何となくだがそれっぽいなと納得する


「因みに男の子の場合は精液でも構わないわ」


「そ、そういうのは言わなくて良いですっ!!!」


顔を真っ赤にして余計な情報を口にした香を絵梨と悠が同時に引っ叩き、口を閉じさせる


本人はやだなー、魔法と性は切っても切れない関係なんだよ?とお茶らけていうが、思春期真っ只中の高校生には中々目に毒なワードである。多感でそういったことに興味がある

という事の証明でもあるのだが


なお、郁斗は自分は何も聞いてません。という体を取っている。相変わらず鋼の精神力を持つ男であった


「まま、冗談はさておき。恐らく郁斗君に対する呪いは体液を触媒に使われたと見て、ほぼ間違いないだろう。体毛を触媒にしたなら効力が高過ぎ、体液を触媒にしたのなら効力が低い事を見るに、素人が見様見真似で呪いの儀式を行い、偶然にも成功してしまったんじゃないかな」


ざっくりと言ってしまえば発動はしたものの、成功したとも言えない中途半端な呪いが郁斗に掛けられた呪いだと言う


では、何故その呪いをかけた人物を探さなければならないのかと言うと


「……あぁ、成る程。呪いをかけた人物が分からない限り、かけ直される可能性があるから、ですか」


「おっ、良い線いってるね。流石は郁斗君だよ」


ぱちんっ、とウィンクをして郁斗をを褒めた香は呪いをかけた本人を探さなければならない理由を改めて語り出す


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