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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
気付き始めた心と身体
131/206

のろい

年長者の香は黒に濃い紅をあしらったもので、若者の二人とは違い花柄ではなく幾何学模様があしらわれており、落ち着いたデザインとなっている

髪型も着飾っている、と言うよりは簡単に紐で結い上げ、結い紐を隠すように髪留めがワンポイントとなっている程度


全体的にはしゃぎ過ぎていない年相応の大人が夏祭りを楽しんでいる、と言った装いだ


「はぁ~、気合いが入っとるな。着るものなぞ、それなりで良いとは思うがの」


「相変わらず和装がさまになってるな。柏木も、馬子にも衣装ってか?」


「それ褒め言葉じゃないって知ってるからね?」


浴衣を着なかった照と、男物のシンプルなダークグレーの浴衣に身を包んでいる郁斗は、それぞれに着飾った三人に対する感想を口にする


一言余計な事を言ってはいるが、軽いじゃれ合いなのは分かっているので絵梨から郁斗への不満げな視線は適当にやり過ごされる


「もう一人、お主等と仲の良いと言うおなごにも声をかけておいたぞ。じきに来ると思うが」


「小高のことな。柏木が引っ越すこととかも含めて、一応近しい間柄だし報告も必要だろ?」


三人がせっせと着飾っている中、郁斗は一人先日の騒動を知りながら、その詳細を知らない桃へのフォローの意味も込めて、連絡を取ったようで、その口ぶりから桃もそうしない内に此処に来るだろうことがわかる


「そうだね、表面上だけのことでも話しておかないと」


「という事は、仲良し四人組の中で、その子には詳細は伝えないってことで良いんだね?」


「はい。あの子は、桃ちゃんだけは本当に事情も何も知りませんから。私みたいに戦う力が合ったり、郁斗みたいに事情に熟知してたり、絵梨みたいに始めからそちら側にいた訳でもないです。……無闇に、知ったら危険になることを知らせる必要は、無いと思うので」


「そう、決めてあるなら良いわ。ただし、その秘密はしっかり隠し通しなさい。それがお互いの為になるわ」


香にも改めて、桃には三人がこれから関わる非日常に関して伝えないことを意思表示し、それに対しての了解と釘を刺される


仲が良いからこそ、隠し事は隠し通さなくてはならないのだ。それが、如何にお互いのことを思ってのことであっても、隠された側は自分だけには伝えられなかったという事実に、強いショックを受けるからだ


それが多感な女子高校生ともなれば、その関係性にまでヒビを入れかねない。嘘と隠し事は、するなら騙し抜き、隠し通さなくてはならない。それも一種の優しさだ


「ま、気負わず行け。修行に関しては引っ越しが終わってから、儂らの家で行うつもりじゃ」


「それまでは今まで通り過ごしておいで、これからの非日常に身を投じるならこそ、日常のありがたみが嫌でも分かる様になるからさ」


その非日常に、引きずり込む側が言う言葉じゃないんだけどね。と自嘲気味笑う香の言葉がどれ程の重さを持つのか、その実感が沸かないが、三人はその言葉にしっかりと頷いた


非日常に足を踏み込む前の、最後の日常を香たちは用意してくれたのだ


勿論、その非日常とやらに足を踏み込んでも、平和ないつも通りの日常の一端は味わえるのだろう

それでも、今まで通りとは行かないのは何となく分かる


「お待たせしましたー!!わぁっ!!悠ちゃんも絵梨ちゃんも綺麗~!!あっ、香さんと照さんですね。私、小高 桃って言います。今日は七夕祭り、バッチリ案内しますね!!」


「おっ、中々元気な娘だの。儂が照じゃ、よろしく頼むぞ桃」


「私が香。よろしくね、桃ちゃん」


その日常を体現する桃がやって来て、少しピリッとした雰囲気は一気に霧散する


一番小さな体躯でコロコロと表情を変える桃は大人二人に丁寧に挨拶しながら、いそいそと入って来たばかりの高嶺家の玄関を飛び出して行く


「置いて行きますよ~」


「……ふふっ、ちょっと桃ちゃん元気過ぎだって!!」


「ちょっと待ちなってば」


「それじゃ、桜さん。行って来ます」


「はい、楽しんでらっしゃい」


一行はこうして、地元の一大イベント、仙台七夕祭りへと向かうのであった



無事、バックアップ復旧が終わりました


いやはや、PC自体の修理は1週間程度だったんですが、データが一部飛んでいたり、劣化していた部分を追加で直したり、疲れてゲームに勤しんだりしてたらあわや一か月放置するところでした


申し訳ない


またボチボチと続きを書いていきますので、何卒よろしくお願いします



また、ファンタジーでちょっと新作を予定しています。VRと異世界ファンタジーを混ぜ込んだ、所謂流行りモノな作品ですが、自分なりに作り込んでる最中なので、公開できるところまで来たら是非読んでいただけたらと思います

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