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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
色んな意味での先輩とダチになりまして。
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色んな意味での先輩とダチになりまして。

ただ、まぁ、今回ばかりは運が悪い


「ふふーん、筋肉だけじゃ喧嘩は勝てないのだよ」


「何を言っていんだてがっ?!」


なんせ相手はそんじょそこらの女子高生ではなく、人間のポテンシャルを殆ど限界まで引き出せるようなスーパー武闘派女子高生(元男)とそのお供達なのだから


「先輩!!先に手を出しちゃだめですって?!」


「へーきへーき、先に殴ってこようとしたのあっちだし?正当防衛だって」


「そういう事じゃ――!!」


「ぎゃっ!?」


早速殴りかかってきた巨漢を投げ飛ばすというトンデモ所業をお見舞いした勇に悠は注意するがやはり勇はへらへらと手を振って平気アピールをする


いやまぁ確かにそうなのかもしれないがカチコミに来ているのはこちらなのだからその理論は果たして通用するのかと悠は頭を悩ませるが、こちらに視線を向けていた勇の背後に別の男の姿が近づいているのを確認すると迷わず抜刀し、木刀を数度叩きつけて一瞬の内に鎮める


「これで同罪だな」


「ま、一緒にカチコミに来てる時点で共犯だしね。こいつらも後ろのめたい事をしてる以上は警察に駆け込むってことも出来ないだろうから安心して良いんじゃない?」


気付いた時には既に行動した後で肩を叩いて来た郁斗と、その横で眼鏡をクイっと上げる郁己の言葉にガックリと項垂れた


「よーし、じゃあさっさと見つけてさっさと帰ろっか!!」


「そんな簡単に済むかなぁ……」


まるで冒険を始めるかのように意気揚々と室内に突入していった勇を追いかけながら諦め悪くも一般人的思考で悠は頭を悩ませていた





結論から言うと、悠のバッグと財布は驚くほど簡単に取り返すことが出来た


このひったくりグループは4人組だったようでバイクに乗って犯行を実行する実行犯組と先程の筋肉ダルマとすぐさま撃沈させられた男二人が実行場所や拠点の管理などをしていたようだ


残っていたひょろ男と中肉中背の平凡な男は奥の一室で今日の成果と言うやつを数えていたらしく、部屋に突撃して来た4人に驚いている内に武闘派二人により伸されている


「……なんか、思ったより簡単でした」


心配してた大乱闘的なことは一切起きず、あっさりと手元に戻って来た荷物を郁斗に手渡しながら悠は何か納得のいかないような微妙な表情をしながら肩の力をを抜く


「まぁ、そうだね。特にピンチらしいピンチも無かったし、後はとんずらして途中にあった公衆電話から警察に通報して終わりかな」


「今回上手く行ったからと言って、率先して厄介ごとには首を突っ込もうとかは思いませんけどね」


「そりゃそうだよー。行けるって判断出来たから今回は行っただけで本来だったら迷わず警察に行かなきゃだし」


「……なんか、状況分析できてなかったのって私だけ??」


冷静にこの後することや本来することを口にする面々に置いてけぼりを食らったかのような気分になる悠だが、単純にごく一般的な心配をしていただけであって彼女自身に何か非がある訳でもない


ちょっと周りがおかしいだけなのだがよくよく考えると大人の男性4人を易々と気絶させてしまう悠も一般からはだいぶかけ離れているので実は他人の事は言えない


「自信満々で行って失敗するよりは一人くらい心配性な人がいた方が良いよ」


「それより早く出るぞ。目を覚まされるのも厄介だし、そもそももう夕暮れだ。温泉街まで行くバスも無くなるぞ」


「よーし、じゃあ帰りもダッシュで帰ろうか」


窓の外を見れば確かにもう外はだいぶ暗くなっている。那須高原は観光地と言えども結局は田舎。遅くなるとあっという間にバスなどの公共の交通網は最終便になってしまう


「舐めたマネしてくれるじゃねぇかガキ共」


そそくさと現場を後にしようとした4人だったが現実と言うやつはそうは問屋が卸さなかった


「郁巳、屈んで!!」


「郁斗、伏せて!!」


部屋のドアから現れたのは一番最初に勇に投げ飛ばされた男だ



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