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俺を返せ!!  作者: 伊崎詩音
色んな意味での先輩とダチになりまして。
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色んな意味での先輩とダチになりまして。

今日の悠の恰好は白無地のシャツにデニムシャツを重ね着し、黒のキュロットでスッキリでも可愛い目に髪はゆったりと大きく三つ編みに纏めて前に垂らしている。アクセントに赤のヘアピンが前髪に二本、普段は隠れて見えないおでこが見えてこれまたキュートさを出している


靴は山に行って歩くことも想定して敢えて白のスニーカー。うっすらとナチュラルメイクも決めてバッチリ女子だ


「そのかいあって可愛いじゃないか」


「嬉しくねぇっての」


郁斗の褒め言葉にぶすくれながら朝食として駅構内のコンビニで買ったサンドウィッチの袋を開けた悠は早速かぶりついて美味しくいただく


その様子を見て郁斗は苦笑する

男の時の感覚のままで頬張ったため、口に入りきらずにマヨネーズが付いているし、量が多すぎてはたから見ると欲張って頬袋に餌を詰め込み過ぎたハムスターだ


もきゅもきゅと咀嚼する様子は可愛いことには可愛いのだがそこそこの年齢である女子高生足る悠が取るには少し子供っぽ過ぎる行動に映る

見る人が見れば行儀の悪い子に映ってしまう事だろう


因みに郁斗はカーキに近い色の無地ジャケットにインナーは白のロングTシャツ、黒のパンツとブーツ、中折れの帽子を身に着け、こちらもモノトーンっぽい軽やかな服装だ


背の高さとツラの良さも相俟って見た目は高校生にはとても見えない。まぁ、これは悠にも言える事なのだが


「頬張り過ぎだ。もうちょっと小さく食べろよ」


「んぐんぐ、頬張ってから気付いた」


口元を郁斗が取り出したウェットテッシュで拭ってもらいながら頬張り過ぎた理由を答えるともう一度、今度は小さく口に含み外見はお淑やかに済ませるように心掛けている様子だ


「桜さんの言いつけは守っておけよ。一応お目付け役なんだから」


「分かってますよー」


今回の旅行はおまけと言ってはあれだが、悠の立ち振る舞いに関する荒療治の一面も含められている

ここ最近は家に引きこもりきりの悠の立ち振る舞いはまだまだ女子のそれとは程遠く、本人が抵抗を感じているというのも大きかった


そこで今回の旅行だ

普段人目に付かない悠を敢えて人目に晒して立ち振る舞いを正してもらおう、という事だ


郁斗は保護者代わり兼、それについてのお目付け役という訳になる

と言ってもこっそり悠の父、豪から耳打ちされて息抜きさせてやってくれとも言われてるため特別酷いことをしなければ注意程度で桜に報告するつもりもなかったりする


「ごちそうさまー。ちょっと寝てて良い?」


「ん?あぁ、良いぞ。那須塩原だっけか?そこ着いたら起こしてやるから」


「よろしくー」


サンドウィッチを食べた悠は早起きと朝のドタバタで少し眠いらしく郁斗から許可を取るや否や、すよすよと肩に頭を預けて寝てしまった

その図々しさというか一切壁を感じていない動作に改めてため息を吐きつつ、郁斗は移動中の暇つぶし用にと持って来ていた携帯ゲームで暇をつぶすことにしたのだった





「あーー、着いたー!!」


新幹線で1時間、バスで那須塩原駅から更に1時間揺られ、やって来たのは那須湯本の観光案内所前にあるバス停


湯本、というだけあって辺りは硫黄の臭いがする温泉地。那須温泉郷と呼ばれる栃木県は那須高原にある観光地である


「凄い坂だな。悠、転ばないようにしろよ」


「ほいほーい」


山の上にあるこの温泉地は温泉街そのものがかなり急こう配の坂道にあり、そこにある道路も勿論急な坂道だ。歩道も一部にしかなく、十分な道幅があるとは言えないのに対して交通量はそれなりにあるため、もし転ぶと結構危ない目に合う


特に身体が急激に変化させられてしまった悠は最近身体のバランスがうまく取れておらず、よく躓いたり、転んだりしている

郁斗はそのフォローをする立場にもあり、いよいよ以て保護者の立場が強くなっているがそこら辺のことはあまり本人は深く考えていない


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