拾伍章─異世界─
城田「じゃあ黒瀬、あとはよろしくー。」
準「はぁ…」
純「どうしたの?準君。」
準「どうもこうもないよ。何でこんなところに…」
純「私の思ってた通りだった。」
準「え?」
純「準君、結構強がりさんだけど、誰かが見張ってないと、ま~たすぐいじめられちゃうでしょ。だから私、その見張り。」
準「見張りって…白山ほどのお嬢様が、俺ごときの見張りなんて…」
純「いいの。あのときのお返しでもあるんだから。」
準「あの時ぃ?」
純「あれ?覚えてな~い?ほら、中二の…」
滝田「あーのー。授業始めたいんですけどー。お二人さん、イチャイチャするんなら外でやっていただけますかー?」
─そうだった。
純が男どもをひたすらボコしまくったため、後始末をしていたらいつのまにかこんな時間に。
しかもなんか、ボコられた筈の奴等からの刺すような視線が痛い。
滝田「それじゃあ、科学の授業、始めまーす。」
─健は、ただただ驚いていた。
あの後、聡に連れてこられた場所、それがこの、『レッドガレスタ城』。
何に驚いているのかというと、それは─
城が、ブルースタインの城と酷似している。
聡「ここは異世界。きっと城は、ブルースタインのをパクったんだろう。」
健「じゃあやっぱりここは…」
聡「異世界。間違いない。」
健「他の仲間は?」
聡「あぁ、それなら─」
優「おーい!」
優だ。他にもたくさんの仲間達がいる。
全員ではないが、神襲を共に戦った仲間達が。
健、聡、優、調、明、流、宰。
聡「約一名を除いて、ペア単位で呼ばれているな。」
健「何で、桜だけいねぇんだよ。」
聡「それは僕の方が聞きたいよ。」
そんな話をしていると─
執事「ようこそいらっしゃられました、勇者様御一行。」
健が「勇者!?」と叫ぼうとするが、話を聞くため、聡が口を塞ぐ。
宰「なぜ、我々の顔が?」
執事「はぁ…それはあなた方がこちらに、顔写真を送ってきたのでは?」
宰「あぁ…はあ、そういえばそうでした。すいませんこの頃忘れっぽくて。」
聡「どのような御依頼でしたっけ。」
執事「はぁ…それは国王様とお会いするまで、分からないという約束では…?」
聡「あっ、そ~うだったそうだった。いや、すみませんねぇ。仕事で忙しいとど~も記憶が曖昧になってしまって~。」
執事「いえいえ、結構です。我々執事の基本は補佐や御世話。何なりとお申し付けください。
では御案内致します。」
執事心の声『ふん。な~にが『忙しい』だ。暇なお前らを国が引き取って仕事させてやってるというのに。』
心の中で毒を吐く執事を、健は黙って見つめていた─




