拾六章─学校戦争─
準「どういうことだ、奴の部屋は、武器が回収され、轟 桜の部屋も奴自身の部屋も、警察が見張っているはず。どうやって奴は─」
純「あーっ!」
準「何だよ大声出して!」
純「このスマホ、電波の不具合があった旧式のやつじゃない!そりゃあ声も違って聞こえるハズよぉ!」
準「えっ、それは俺が自分で直して─」
純「素人さんがいじくって、直した気にならない!しかももう無料修理期間も終わっちゃってるし、買い替えるしかないよ!」
ええー。
女生徒「何よ、無駄な期待させちゃって。」
女生徒「所詮、キモヲタはキモヲタね。」
準「え、あっ、それは─」
プツン
準は、何かが切れる音を、聞いたような気がした。
純の頭のらへんから。
女生徒達「ぐはぁっ!」
健「しっかしまぁ、よく考えると変だよなぁ。」
優「何がだ?」
健「だってよぉ、執事さん達が知らなかったってことは、白山家は現実の家なんだろ?そこの事が話題に出てきたってことは、あの電話は現実からかかってきたってことで、ということは俺は、現実世界と異世界で電話してたことになる。違う世界を結ぶ電話回線なんてあんのかなぁ、って思ってよ。」
優「さあな。もしかしたら、異世界にあるシロヤマ家かもしれねえし、考えるだけ無駄なんじゃね?」
健「ま、それもそうか。」
聡「ところで君達。」
健「なんだ。」
聡「君等はもう、武器は選んだのかね?」
健「気味の悪ぃ喋り方すんなよ。まだだけど?」
聡「僕はこの、『魔法指揮棒』に決めた!」
健「『指揮棒』ォ?おいおい、そんなモンでどうやって戦うんだよ。」
アレシア「何を訳の分からんことを言っている。魔法に決まっておろう。」
健「はぁ?魔─むぐっ!」
聡(小声)「この世界には、魔法が存在するんだっ!下手なこと言うと、怪しまれるぞ。」
健「な、なるほどね。」
アレシアは「?」と訝っていたが、気にしない。
優「んじゃあ俺は、これかな。」
そう言って優が手にとったのは、『炎魔斧』だ。
健「んじゃあ俺は─って、あれ?」
アレシア「どうした、タケル。」
健「ナイフは?」
アレシア「は?」
健「ナイフ、ないのか?」
アレシア「あるわけがなかろう。あんな小さい上に威力の低い刃物で、貴様はどうやって戦うのだ。」
どうやらこの世界にナイフは食器としてしか存在しないらしく、それを知った健はガックリと肩を落とした。
準「やっと昼休みだぁ!」
純「物凄い喜びようね。」
準「そりゃあそうだろ。だってあとはもう、昼食って帰るだけ!今日は午前中しかないんだから!しかも明日は休日!これを喜ばないたあ、健全な高校生とは言えないな、うん。」
純「休日はいつも、何してるの?」
準「ゲームだけど?」
純「暇なんだ。」
準「うん。」
純「今日帰った後も?」
準「ゲームだけど?」
純「暇なんだ。」
準「うん。」
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純「じゃあ、今日は一緒に買い出しだねっ!」
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準「はい?何を訳のわからないことを…」
純「だってぇ、今日私を家に泊めたら、準君家、食料不足に─」
ギラン。
紅く充血した男どもの眼が怖い。
準「なっ、ななななーにをおっしゃってくれちゃってくれてるのでせう?」
純「だからぁ、今日私が準君家に─」
ギギギギララララン。
最早何体もの怪物に睨まれている。
準「そ、そそそそそそーんなこと、だだだーれれも、きょょかしして、いないいのではら?」
最早自分でも、ちゃんと伝わっているのかどうか如何わしい。
純「何言ってんの?昨日約束したじゃない。昨日は私の家に泊まったんだし、何も言うことは─」
男「戦争だァッ!!!!!!!!」
男共「ウォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!」
こうして、戦争が始まった。




