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守護者  作者:
メッセンジャー
9/88

大先生


リックはゴールデンシープで一人ビールを飲みながら今日手に入れたリストを見ていた、今度は自分の中隊に配属された人物名を見て頭を捻っている。


「お呼びですか?」


「ああ、ちょっと聞きたい事があるんだが」


サカキ軍曹にリストを見せながら、


「ケリー中尉とアーネット中尉は知ってるんだが、

 このジャクスン・アクロイド中尉とアルバート・バレット中尉って聞いた事あるかい?」


前者の二名は広報に載っている作戦レポートを読んで知っていた、リックは各地で起こる敵の装備を知る為に広報にのるレポートは欠かさず見ていた。

サカキ軍曹はリックより軍歴が長く顔が広いので呼んでみたのだった。


「アクロイド中尉はこの前廃艦になった「クリスティ」にいた人です、

 そこそこにやれる人の筈だった覚えがありますね」


(ジョニーがそこそこって言うなら心配ないだろうな)


「バレット中尉は?」


「3時方向に見えてるのがそうです。」


右手の10m先のテーブルで部下達と飲んでいる4人組が見える、年は30代後半くらいに見えたがリストには33歳となっていた。

隠語だろうか、意味不明の言葉がしきりに聞こえてくる。


「出来上がってるのかな?」


「まだあれは素面ですよ」


「知ってるのか?」


「酒場では有名な方ですね」


「代理決闘かい?」


「見た事ありませんな」


「酒場で有名となると酒乱か」


「奴さんの綽名はビヤ樽ですぜ?」


「まさか・・・」


「そのまさかですよ」


サカキ軍曹はリックと6年の付き合いだから何が嫌いかよく知っていた、リックはげんなりとした。


(大先生かよ・・・)


リックが最も嫌うタイプだ、実力も無いのに人物評論家を打つ手合いだ。


「明日は覚悟されたほうがいいですね、胃薬用意しておいたほうがいいでしょう」


大尉ごときでは部下も選べない事に気がついたリック。


「てことは彼の小隊は当てにならんか」


「何度か実戦はあるらしいんですけどね、上から見たら怖くて使えないんでしょうな。

 本人は出来ると思い込んでああやって部下を連れまわす所が有名なんですな」


リックは今夜寝るのが怖くなってきた。


リックは寝る前にスコッチを飲みながら、端末からの士官データベースで下調べをしてみた。

これを見る事が出来るのはマイスターと憲兵隊の審議官以上の者だけだ、将官と言えどこれを見る事は出来ない。

名前のすぐ横にアルファベットが二つ表示される


士官は1ヶ月に一度、身近な士官や任務で知り合った士官の評価が義務付けられている。

要素は「能力」と「信用」の5段階評価だ、「能力」は作戦実行能力そのものだが、「信用」は士官達から見た信用なのかハイガード全体から見た信用なのか議論が判れていて曲者だ。


この二つの要素は個人に対して平均値が弾き出されて公表されない、しかし己の下した評価の平均値からのプラスマイナス偏差値がベスト200だけと言う形で公表されている。

これに名を連ねる事は次の定期昇進が確実になるのでどの士官もこのれに名を乗せる為に常に人を見る。


能力・信用の直ぐ隣には年齢や参加作戦回数等、特記事項が書かれている。

グレン・アーネット中尉は25歳で能力が「B+」で信用は「C」だった、まだ若いから信用はデフォルト値のままだ。

「+-」は憲兵部かマイスターによってつけられる、「+」は上昇の見込みであり、「-」は下がる可能性を意味している。

まだ若いが作戦回数が96回と多いせいか高評価だ。


マーク・ケリー中尉は29歳で能力が「C+」で信用が「B+」だ、作戦回数が38回と少ないが最近カンプグルッペに入ったばかりにしてはいい部類だった、こういう人物も来てくれると頼もしい。


アクロイド中尉は35歳で能力が「C+」で信用が「A」だった、作戦回数もリックと同じくらいで三桁だった。

不思議な人物だなとリックは思った、通常B以上の評価がつくものは必ずプラスマイナス評価がつくのだが特記事項には何も書かれていない。

自分の眼で確かめようと思ったリックは問題の「大先生」を見ることにした。


能力が「D-」で信用も同じだった、作戦回数も19回と一番少なかった。

特記事項にも何も書かれていない。


(ま、こんなもんだろうな)


明日は全員を集めてイメージトレーニングで各小隊の確認をしようかなと考えながらリックは眠りに落ちた。



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