本当は勝てた!? 太平洋戦争と消費税のウソほんと!!
昭和十六年当時、日本は日独伊三国同盟の締結や大陸進出により国際的孤立を深めており、経済制裁を受けて逼迫していた。状況を打開すべく外交交渉が行われたが、国内(主に陸軍)の意見をまとめきれず、交渉は遅々として進まず、国民はフラストレーションを募らせていく。
そんななか、対米英戦開戦のラジオニュースを聞いた人々は熱狂した。対日全面禁輸により生活が苦しくなっていた折も折、開戦と緒戦の勝利により一気に憂さが晴れたのである。
しかしじつはその直前、来るべき対米英戦争を想定した机上演習が行われ、日本の敗戦はほとんど正確に予測されていた。
為政者がこの結果を国民に説明した形跡はない。
もし国民に対し包み隠さず説明していれば、さすがに世論も開戦一辺倒というわけにはいかなくなり、臥薪嘗胆の気運も生まれただろう。陸海軍は消えてなくなったかもしれないが、敗戦の惨禍と比べれば、省庁のひとつやふたつ消し飛んだところで大したダメージではなかったはずだ。
しかし演習結果は秘匿された。
国民は、大事なことについてなにも知らされないまま、負けると分かっていた戦いに投入されていったわけである。
開戦時の熱狂とのあまりの落差にあわれを禁じ得ない。
この事実が広く知れ渡るには、猪瀬直樹氏の著作「昭和十六年夏の敗戦」(昭和五十八年)が刊行されるまで待たねばならなかった。
時代はとんで令和七年の日本。
円安が進行し、放っておいても財産が勝手に目減りしていく閉塞感と、消費減税あるいは撤廃の議論が遅々として進まないなか、国民がフラストレーションを募らせている状況は、当時の世相と共通している。
もしいま、あとさき考えず「主権者たる国民が望んでいるから」とばかりに消費税減税あるいは撤廃に踏み切ればどういった事態を招くだろうか。
前話にも記したとおり、日本政府は借金返済を投げ出したものと国際社会から見なされ、円は信用力を失い、紙くず同然にまで暴落するだろう。
こういったことについて、為政者が国民に向かって説明したとは寡聞にして知らない。
国民生活に直結する大事なことなので、この際はっきり説明してほしいところである。




